2022-01-01から1年間の記事一覧

ほとんどだけど

ここは風通しが良くていろいろなものがよく見えます。こうやって画面を見もせず何も考えず指が動くがままに文字打っています。それでいいんです、少なくとも今日いまここにこうやって書いて生きていることを残そうと思えることがわたしは嬉しいから。 今年あ…

"眼差しの数だけディティールは立ちのぼる"

どうもひとに好かれるような文章じゃないから、そちらの眼球こそぐるぐる回転してしまっていますか。唇にあぶら取り紙を挟んで多く塗りすぎてしまった口紅をやさしく剥ぐように、日々の微小な震えをそっと感知して写し取っています。 鼓動が三拍子で脈がない…

はてのないおないたに

あなたに背中を向けたのはこの12年余りで、つまり人生で初めてのことだった。常に眼差しの対象だから外すことなど考えもしなかった、それでも背を向けて飛び降りた、流水の中の砂金を掴むくらいの無謀さを持っていたために。ほんの5分余りの出来事。背中を向…

餅と発砲

ラメの日。大きく横に開く口だから笑うたびに花が咲くようで、嬉しくて泣けてしまう。何色が見たい?と聞いたのは半ば苦肉の策だったけれど、紫だと即答するものだから。バッグ、ピアス、ベルト。次々にものが壊れる日だった。加えて、そこに合わせてスキン…

ひみず/解放/すいか

うだる日々と畳の感触、だらしなく寝そべる退屈の最中、立ち上るという動詞には似つかわしくないほどに燦然と立ち上った。短い詩の映る液晶画面、ゴシック体。火であり水であった。白さに胸が焦げ、青さに夢中になる。火にしても水にしてもひとつ極まったと…

粘膜のてらりに

無害で平坦なにんげんの生活に慣れることなんて絶対にしないで、生々しく賭けて駆け続ける畜生の日々を送って。ここ以外で喉を枯らさないで、ここ以外で膝をついても何事もなかったふりをして。血を流して泣くのは痛いからじゃない、血が流れたことが悔しい…

ズキズキを知っていて

ねえ、わたしはあなたに絶対勝ちたいんだよね。だってあなたのことが性懲りもなく好きだから。見つけてよ、負かすためのものは揃えようと思ってる。 あなたの作品のことが大好きだから、見つけたらわたしはすぐわかってしまうし好きになってしまうだろうな。…

死者に梔子

ねえ、あなた緩やかに殺しているよ、と髪を乾かしそびれた女が指摘する。やっぱりそう思う?と首を傾げてから、でもそれちょっと違うんだよねと微笑んで返すのも女だ。少し眠っているだけで、そんな風に損なわれて見えるのならあなたは短絡的すぎると主張す…

しおみず

「半分に割った赤いリンゴのイビツな方」はわたしが貰うのだけれど、それでも綺麗に割れたほうを笑顔で受け取っておいて違うひとにプレゼントするのはやめてよって思う。わたしはあなたにあげたのだ、他の誰かになんてあげないでよ。 いちばんおいしいところ…

九夏儀

言葉の動脈が見える、切ったらたくさんの血が流れる部分を撫でる。見えますか、肺に溜まる切実は吸っても吐いても出ていかない。胸に留めておくの。極彩色は最後にぶちかますのが鮮やかだし、そのフラッシュで目を潰してしまいたい。衝迫、ああ溶解。 見えた…

19335歩

虚像ではなくて鏡像、鏡です。どういうことなのと叩かれて割れてみれば、ひっそりと無限の虚空がみちていました。きらきらと鏡が降ります。それだけのことです。外には何の秘密もないのでした。あなたの手は血塗れで、そのひと本当はいなかった、誰の夢なの…

裂くみ

なまぬるいことばっかぴーちくぱーちくってる暇あったら本読んで過ごそ、首を吊る以外の方法で背も伸ばそ。倫理も論理も手薄だがそれに巻き取られるような身体は持ってない、持てなかった、違うやり方でいけってこと。自分の内側が見える気がするもっと澄め…

鼠族shuzu

こんな夜に喉を割くための言葉を探してはイソジンごと飲み込んでいる。 今日は大した外出をしなかったからマスカラを塗らずアイシャドウと口紅だけで済ませた。使った3色のアイシャドウを片付けながら、思えばどれも紫に分類されるものだなと気づく。そもそ…

日常なの。

まずバスセンターでカレー。文字通り飛び乗って、空席はなかったから飛び降りた。だらっと歩いてバスセンター前述の通り、そういえばそのあと日付が変わる近くまで水以外の何も口にしていなかった。20時に建物の外に出たら眼前の信濃川いっぱいの夕焼け、こ…

カルディアンオーダー

6も28も完全数だから並ぶと嬉しい。数を並べて喜んでいたら、星も並ぶと報。 カルディアンオーダー通りに並んだ惑星が関東で観測できるそうで、それは非常に貴重なことらしい。午前3時半から4時までの間と言う。その日に不慣れなことをする予定があったから…

⤵⤴

水面の反射光のような会話を愛している。波打ち際で爪先を濡らすような果てしない他愛なさ。 ふと、自分の言葉を果てしなく自分だと思っている可能性に行き当たった。言葉を読んでもらえると嬉しい。無視されると淋しい。やっぱり言葉は身体に根差している。…

旗を掲げてなびかせて

まともな言葉で語らい合うひとびとを眺めていて、とにかくここから逃げたいと思った。まともな言葉がどうにも身体に障る、誰が誰の口で誰と話しているのかわからなくて混乱する。自分の言葉は少しおかしい、そういうことを忘れていた。 最大公約数的な言葉で…

ソルトミントカルトキルト(カルキ抜きのうた)

それでもわたしはやっぱりそこをひとつも疑っていなくて、神様にはできない内緒を舌先に乗せて絡ませた。口移しで飲んだ水がおいしくて瞼の内側がちかちかした布が隠した太陽の奥。おんなじように結んで、違う結び目ができあがるから引っ掛けて遊ぶたびに掠…

「べきもな」の母音は不一致

自分の持つ・持ちたい雰囲気を言語化した上で非言語的なものに変換したいと考えた。つまり香水が欲しいという願望について。 自分の身体についてはわたしよりも他者のほうが知っている気がする、もっとも冷静に見られないものが自分の持つ肉体であると感じる…

ディープストロングガノフ

突然気がついたんだけれど嫌なことは嫌って言っていいし断りたかったら断っていい。断って殴られるのは怖いけど殴ってくるひとってたぶんそんなに多くない。たまにいる、いなくはない、怖かった、でもだからなんだという気もしてきた。相手が否定されたと思…

みつけてしまった

水星に夜明けが来てわたしの言葉は湿りはじめる。赤を纏って色を放つ。唇を使って会話をする。そんな目で見るなよ。 わたしはちゃんと知っていて、知っていた通りになる。だから何も疑う必要がないのよ。 自分の身体に固有の匂いがあったらどうだろうと思っ…

dress me up

彼女と初めて会ったのは17歳になったばかりの頃。16歳の頃インターネットで知り合ったひとに紹介されたのが彼女のブログだった。何をどうしてコンタクトを取ったのかなどはさっぱり覚えていないが、とにかく下北沢で会った。人生で二回目か三回目の下北沢。…

疼く丸

触るなよ、手をどけろよ、と思って身体をゆすったら呆気なく剥がれていったから障られてる。なんだよ、なんなんだよ。こんなことが続くと宜しくないから手を打たないといけない、触んなよ。もう警察に行く気力がなかった、何もしないとしないでフリーライド…

BELLA LUNA

性別のことを考えているとどうやっても途中でおかしなことになる。 切実な気持ちで身体に触れる、頬に触れた指先がそのまま熱した金属のようにどろりと零れ出すあの感覚。ひとはどんな気持ちでひとに触れるのか。これは性別のはなしではなくて、もしかして性…

クレ

苦しくて起き上がれずさっきまで眠っていた、汗をひどくかいているのでシャワーを浴びようとして起き上がって、そしていまひどいリズムで胸が動いている。脈動。ひとつ残らずわたしのもの。欠かさず余すことなく間違いなく。

ポケットに気圧線

酷く素面で素敵に神経を剥き出しにさせられて電極に繋がれたあとで、その鼻筋に口に眼球のてらりに感動をし、ここに置いた心を思いながらしみじみと過ごして商店街の中心で眠った。うってつけのグラタンととっておきのかき氷を食べてまた眠り、公園で踊って…

産む月

うみがめの産卵に二度喩えられた。大地のものにはなれない肉、あなたの落とす命は肉にあらずの可能性がと言う。 感情は受肉する。 肉体は感情の器であり、アンテナのようなものだ。肉に落ちた感情を響かせるサウンドホールが肉体で、その音響の塩梅がひとに…

星撃つ間に映える名に

美しいと感じられるものを探し続けて出会うという作業が生きるということだ。美しさを追い求めること、それを浴びて心を震わせること。美しさがいちばんの定規でその定規をあてることがわたしの礼儀。美しいものを美しいと思えない心になってしまった日には…

壊れたバター

丁寧な文章書いてるの本当に疲れるし柄じゃない、わたしはただ22時過ぎに放り出された建物から駅まで歩く10分か15分くらいの間哀しくて泣いていたというそれだけ。1円にもならないどころか無休になる分金銭的にはマイナスで、何時間取り調べを受けるのだろう…

水かき夜間飛行

ハンドクリーム塗ってますか、とわたしの席の前で足をとめるひと。質問の意図がわからなくて頷いたら「夏の匂いがする」とにっこり笑って歩いて行った。わたしの肌とバニラを混ぜると、このひとにとっての夏の匂いになるのだろうか。香水はあまりつけないけ…