2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ひみず/解放/すいか

うだる日々と畳の感触、だらしなく寝そべる退屈の最中、立ち上るという動詞には似つかわしくないほどに燦然と立ち上った。短い詩の映る液晶画面、ゴシック体。火であり水であった。白さに胸が焦げ、青さに夢中になる。火にしても水にしてもひとつ極まったと…

粘膜のてらりに

無害で平坦なにんげんの生活に慣れることなんて絶対にしないで、生々しく賭けて駆け続ける畜生の日々を送って。ここ以外で喉を枯らさないで、ここ以外で膝をついても何事もなかったふりをして。血を流して泣くのは痛いからじゃない、血が流れたことが悔しい…

ズキズキを知っていて

ねえ、わたしはあなたに絶対勝ちたいんだよね。だってあなたのことが性懲りもなく好きだから。見つけてよ、負かすためのものは揃えようと思ってる。 あなたの作品のことが大好きだから、見つけたらわたしはすぐわかってしまうし好きになってしまうだろうな。…

死者に梔子

ねえ、あなた緩やかに殺しているよ、と髪を乾かしそびれた女が指摘する。やっぱりそう思う?と首を傾げてから、でもそれちょっと違うんだよねと微笑んで返すのも女だ。少し眠っているだけで、そんな風に損なわれて見えるのならあなたは短絡的すぎると主張す…