Till death us do part


しゃんとしろしゃんと。へばってんじゃねえ、うじってんじゃねえ、痛がってんじゃねえ、足がちぎれても歩けるし身体が動かなくなったって詩は書ける。助けを求めるな、ひとりできちんと全部やれ、ひとに頼るなんてことをするな、持ちきれる分だけを持て。他のひとはその限りではないのだけれど、わたしに限ってはそう。誰も何も助けてくれるわけがない、でもそれはわたしの問題。持ちきれなくなったなら潰れてしまうまでのこと、腹をくくれ、心臓を抉れ、脈を止めろ、そうやって雨ざらしで半死半生、ずっとやってきた通りにこなせ。


約束をしたのだからその約束を胸に背筋をぴんと伸ばしていればよい。信じれば信じるだけばかをみるなんてことは散々学んできたのだけれど、そのことだって精いっぱい訴えた上で信じて欲しいと言われたのだから黙って信じていればよい。血判もしたし盃も交わした、「約束するから約束して」と柔らかく促されもした。なんの根拠もない? なくても無効になったと聞いていない、わたしは愚直なのだ、自分でも呆れるくらいには。

あるいはこれは他者を傷つけ苦しめるだろうか、でもわたしなりには最高に敬意を払っているし誠実に向き合っている。ゆえに傷つけることもあるだろうけれど、それが苦しいようであるなら、申し訳ないけれど今はどうすることもできない。わたしの誠意に対して、きちんと同質同量の熱を持って応じて貰わないと、取り消すことさえできないのだから。

わたしはつくづく面倒だ、面倒なのだよ、わたしだって手放せるならこんなやつ手放したいもの。みんないいなあ、何も言わずにわたしを手放す権利があって。


「信じて欲しい」という欲求の帯びる哀切を、信じることで甘く鞣すことができるのなら、わたしがやることはひとつだけ。そしてそれ以外のことはそもそもできやしないのだもの。「ずっと泣いてもいられない」、まったくその通りである。だったらどんどん翻してゆくべきだ、こんな盤面からスカートの裾まで余すところなく。ひとつも疑っていないのなら悩むなよ、do it_!

 

 

 

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受け取ってきたものたちの耳を揃えては指ではじいて確かめる。うん、必要なものはここまでできちんと揃っている。
言葉たちが整列してなぞって欲しそうにむずがっているし、音楽はそこにある。わたしは絶対に大丈夫。泣いてしまいそうで聴けないのだけど、頭のなかにある、大丈夫、全部が大丈夫になる。

わたしの未来が好きでしょう、それならわたしは期待以上のものを見せるために編んでゆく。未来はわたしの担当じゃないのだけれど、やるしかないのなら仕方がない。
歌詞を読んだら泣いてしまった。


好きなだけ泣けばいいし嘆けばいいし困ればいいのだけれど、でも全部ひとりでやることだ。助けなんて求めるな、許されないし、許さない。

もっと汚くなれ、気持ち悪さで吐け、死ネヨ死ネヨって頭掻きむしって楽になるならそうすればいい、もっと徹底的に墜落しろ、動けなくなるまで落下してちょうどいい塩梅で死んでしまえ。

 

いつだってうっすら混乱しているから何があったって全然平気、ぎりぎりで保ってきた、これまでと何も変わりはない。もっとよくして、もっともっと。よくし続けて、わたしが死ぬまでそうして。

 

なるたけたくさんのことを覚えていたいと思うのは自罰の一種なのだろうかと思うことがある。不審に撫でる手の薄気味悪ささえ思い返して忘れてやるものかと踏ん張っている、全部背負え、誰も人生を肩代わりはしてくれない。落としても拾ってくれない、抱えろ、それで潰れるならやっぱりそれまでなんだよ。罪と罰の歌詞を思い出していた、必要なのは、必要なのは?

  

 

首の皮一枚で繋がったギリギリの熱に煽られて、気を違えたいそのときに舌を噛んでは正気を取り戻すことの繰り返し。とっくに無理は超えててサドンデス突入中、少しでも元気にありたいと思ったそばから丁寧に丁寧に砕かれてゆく心はグロ注意って感じで、そっちの耐性はまるでないからげろげろに堪える。見るだけでもきついのにさ、砕粉されているのは自分の心なわけだから、そりゃあ当然もう超きっついよ。倒れるなら早く倒れろって思ってる。
でも守りたい場所があるから、そのためならもう少し頑張るよ。

 

 

 

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あまねく物語から滑り落ちてしまった唖の夜に言葉を吐き出す手立てがなくて、はくはくと動く唇は空回るから肺に空気が落ちない。浅く多く打つ脈で胸が痛いよ、意にも肉にも沿わない血の巡りの不具合で簡単に壊れてしまえるっていつだって知っていたはずだったでしょう。滑り落ちた先で唖になってしまって、いまは夜で手当てもできなくて。