カード2枚が脳裏をよぎったの快感だった

 

わからないって言われるけどそれが全然わからない、わからない理由がわからない。なぜこんな見晴らしのよい一本道を疑う理由があるという、どんな心配も憤りもどうにも的外れ。レイヤーが違うだの宇宙人だの難しい言葉を使ってくれるなよ、その辺はもうとっくの昔にキリンジが「エイリアンズ」って6文字に全部押し込めてる。

 


ここ数日の情報量が明らかに過多。変態を控えて身体の内側をどろどろに溶かしていたところをやたらな手数でつつかれて身体が先に参ってしまったらしい、だるくて動けないって体温計見たら微熱があるし胃腸の調子も酷い。

蝉の羽化を見守っていたことがある。何年と土の中にいてやっと出てきて、でも羽化が無事に済む確率はまた更に低いらしい。公園に住んでいそうなひとや通りがかりのひとも近くに寄ってきて、最終的に4-5人で応援していた。半端なところに爪を立てていた蝉は自重に耐えきれずに地面に落ちる、誰かが蝉をやわくつまんでまた樹を掴ませていて、そのときはまだ動いていたけれどやっぱりまた落ちた。動きが目視できなくなったあたりで終電、タイムオーバーで帰宅したからどうなったのかは知らないし、だから正確には「蝉の羽化」なんて見ていない、白いやわらかい身体を内包する生き物が地面に打ち付けられて動かなくなるまでを見ただけ。だけどそのあと羽化したかもしれないじゃんね、わたしは何も見ていない。

白い身体をここに押し留めたまま死んだりしてやるものかよ。肺に睡蓮、肋に両翼、理不尽と暴力、ピアノを弾いてカクテルを作るなら絶対にピアノフェイズがいい、次点でRiot in Lagosね。

 


犬を愛でる朧げな思念体。換毛期であろう柴犬はやたらと身体に擦り寄ってくる、撫でるたびにするすると長い毛が抜けて指の股に引っかかって残るから、指を軽く開いて抜けた毛を風に溶いた。
「時間が解決する」と言う事象を可視化するとこんな感じなんだろうな。触れる程度のことで、あるいは触れなくても自然に抜けて、さらりと風に乗る。寝ている犬を見ながら夏野菜を植えた。

-「時が癒す? でも時が病気だったら?」
-「時間は僕を救いはしない この体が痛みを代謝する」


それにしてもとにかく多すぎる、傷んだ脳だと回らない。あなたがいると世界が一気に混沌とする、穏やかに輪郭の内側に閉じ込めてきたものの蓋をぐちゃぐちゃにひっくり返されて、諸々詰め込んで補正しては押し込めてきたけど、実際あれってほとんどあてにならないってことはよくわかったからもうどうでもいいんだ、いい子におとなしく堅実になんてやらせてもらえないわけね。
開いた蓋を丁寧に閉じていく作業もする、全部する、七拍子でする。大体一拍つんのめってウッとなるけどそういうものだし、そこが味だし。相違が楽しい、何ひとつわからないから一生ぶつけて遊んでたい、背負うと重いし投げてる間は両手が空くしね。あと今更だけど「坪庭」ってどれのことなんだろ、あそこにそんなのあったっけ。軽くなるだけあとはトぶだけ。