星とか風とか血とか水とか電気とか空とか

 

血が足りないのか水が足りないのか不明瞭だけれどとにかく身体が軽くて重たい、頭はふらついているし胃液は外界に触れたがっている。異様に眠たいけど何度も起きてしまうし夢の内容もぐちゃぐちゃだから、午後は歌って過ごしていた。この間バスに乗ったときは手当たりしだいにシンガーソングライターを飛び回っていた。

 

 

美しいひと」という固有名詞。

あなたの生み出す飛び回る星のひとつひとつが脳裏に瞼にちかちかする瞬間に振り回されることが大好きで、何度も何度も目の前で形成される宇宙の一端に触れては撃たれて身体中を逆流させていると、たくさんの星を統べながらその中央で星に成りたいと言い放つ。たったひとつ、胸を飾る星に。
美しさは総てあなたの前に組み換えられた、美しいひとを美しく感じなくなったときはわたしが死んだときだってずっと思っている。

美しさの前には背筋を伸ばさなくてはならない。だからこんな気分で触れてはならないと蓋をしていて気づいた。固有名詞が融解している可能性がある、美しいひと。こんなことが有り得るとはこれっぽっちも想定していなかった。星の数も配置も動かせない、それでも視力はいくらかどうにかできるという話。眼球を落としたっていつだって瞼に星。

 

視線の先にはいつも星があって、だからこの世界には天も地も星まみれ。電池切れ直前の秒針のようにちっかちっか瞬いて脳も連動してぱしっぱしっと信号が走るから心電図みたいだ。
心臓がふたつみっつあったらどんな心電図になるんだろう、肋骨の形状もやっぱり変わるだろうか。睡蓮を守るために肋骨はあるわけじゃないし、わたしは心臓抜きのほうが好き。

 

何があるわけではないけれどレンタルショップに行きたい、大きいレンタルショップがいい。毎月膨大な量のなかからたった10枚を選んで引き抜いて帰ることが楽しみだった、あれは間違いなくときめきだったなと過去を断定する今日のわたしは図々しい。血も水分も電気信号もたぶん足りていないせいだ。情報を前にくらくらしていたい、流星の衝突事故のような乱暴が好い。もっと星が欲しい、部屋を天の川にしたい。「この部屋の宇宙を全部アタシにちょうだい」って文句には確かに痺れた、だけど絶対にくれてやるものかよ。

 

それはそれとして君島大空です。また新曲が出たみたいでそちらはまだ少し楽しみに寝かしている。