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電車に乗って混み合う街を使ったからとても疲れた。だけど月曜日に出した処方箋の薬をようやく受け取れた。

不眠の脳も身体も傷みだらけでこんなときにこうやって吐いたって仕方がないんだけれども、他にやることもないからね。文字を打って過ごすばかり。巧拙なんてどうでもいい。

 

動けない頭で見つめるのは先だけ、甘い過去もなにもない。なんにもなくて、なにもない空っぽで、あなたのことがただ好きで擦りきれた言葉と支離滅裂な愛だけがある。

街の光も音も裏側でチカチカして、自律神経のバグりきった脳に鋭角でぶっ刺さって腰まで貫いてくる。カタカナが血液を循環しているのでズタズタです。

 

用事を済ませてからは古い喫茶店であんみつを食べた。あんみつを出すようなお店は身近にはもうない。白玉はふたつ乗っていた、まだ温かい茹でたてでやわらかい白玉。最初と最後にいっこずつ。
会計をしようとしたらサービスでコーヒーも出してくれるという、しかもサイフォンで淹れたもの。魅力的だったけれどただでさえあまり得意でないし、この身体にカフェインを射すのはまずいと思って断った。飲みたかったな。

周りには古着屋さんやセレクトショップも多くて、黒い紗に刺繍で柄の入ったカーディガンを思わず手にとったけれど、黒の紗の羽織は既に2着持っている。赤いキノコと青いクジラが同時に刺繍されていてとても鮮やかで、それを羽織って過ごす夏はきっとわたしには眩しすぎるし、あるいは少し幼すぎるかもしれない。

最後の一点だって言うからもっと似合いそうなひとがくると思った、そういうのは運命のように選ばれていって欲しい。紗のカーディガンなんて来たこともないような誰かが恋をするといい。

 

取るに足らない日常で、わたしだってあなたを好きでいる。何も頼まれてない、わたしが自分でやろうと思ってやったこと。あなたはひとつもわたしを操っていない。その点は安心してね。

 

ところでへろへろになりながら本屋に寄った。レイハラカミが巻頭だと聞いユリイカだ。
巻頭だと聞いたのだけれど、あの有名な雑誌名をド忘れてしてしまって、でもその場で検索する余力がもうなかった。今調べて書きつけようと思ったら思い出した、そう、ユリイカだ。