時限爆弾と恋人

 

▼210609
ここ数日風邪をひいたようで重たい頭を布団の上に置いて過ごしていたけれど目が覚めたら天気が良かったので小沢健二を聴いた。晴れているとLIFEを聴きたくなるけれど「愛し愛されて生きるのさ」のイントロの質感なのだろう。いつか誰かと完全な恋に落ちる。厚紙を触ってすごしていたらぴこぴこ鳴ったのでぴこぴこ鳴らし返した。びーむ!
人工的に引き寄せた眠気(皮肉な名前がつけられている)を人工的な光(頭痛を引き起こす害悪)で散らして外が明るくなっても聴覚を使わずに会話し続けた。

 

▼210610
起きてまず泣くところから始まった。わたしはちゃんと行動に移したのに、覚悟だってしてたのに、と寝起きにわあわあ視覚を使って会話した。レタスを買おうと思ったけれどスーパーに並んでいるのはどれもこれも傷んでいてなんだか哀しかった。レモンサワーを2本、あとはメイク落とし2種類を買って帰る。令和2年製造の5円玉と50円玉と500円が出てきて嬉しかった。
レモンサワーはお気に入りのがあるのだけれど売り場が縮小されていたので少し困る。自分が泣き虫なのはずっと困っている。仕方ないじゃないか、哀しいものは哀しいのだもの。

「安心は慢心になり最後は点心となる」という格言をもらう、最後に点心になるなら結構いいなーと思った。慢心なんてしたことない。あと点心と並べると中華まんの「まん」な気がしてくる。
目の前に青いリップクリームがあったから。

 

▼210611
目眩と頭痛。午後はずっと眠っていた。新幹線に乗ってたぶん関西のほうに向かって大きな遊園地にひとりで行く夢を見た。観覧車のようなジェットコースターのようなスリルのあるアトラクションでは窓の外に身体全部を乗り出してふざける若者がいて110番通報されていた。世界は終末に向かって動いていて、わたしはひとりで、何を見ていたんだろう。1時間で目が覚めては眠って、起きた頃には辺りは暗くなり始めていた。今年の夏至は21日、あと10日。スーパーではキャベツが78円。12月に失くして4月に新調したものが届いた、14.9。

「お父さん亡くなったのよ、もう2年くらい会ってなかったわね」

 

 

:::

 

 

どこにいてもうまく交わらないことを不安に思うから、身体中に乳化剤を塗って少しでもこの世界が馴染みますようにって空気を鞣して過ごす夜を何度も越えてきた。胴から手足が伸びていて、絡ませる場所がないからいつまでも足癖が悪いし手元ではキーボードを叩き続けている。逆行する水星の流れにむしろ身を任せて氾濫するあれもこれもに唇をつけて汚す。
耳元で虫の羽音が聞こえる。

 

前に気になったけれど聴いていなかったアルバムを聴きながら眠る、甘い中国語。
時限爆弾と恋人が手に入った気分っていっていたけれど、恋人が時限爆弾みたいだったときの話をするのはわたしでいい? いいじゃんもっと力を抜いて、あとはわたしがしてあげる。だから、

 

すいっと切れ込みが入っている位置がろくでもない。そして明るい色の眼。