xxだから見失わずにいられるの

 

鏡を覗き込んで不慣れな配置や配色で顔に美術をして遊んだ。赤を中心に塗り拡げる。頬に色を置いたのなんていつぶりだったかわからない。塗るだけ塗って落として寝た、落としきれなかったラメをきっと瞼に置いて寝た。

スーパーに入ってすぐのところにプラムと桃が並んでいてはにかんだけれどスルーしてこんにゃく麺をふた袋買い足した。ようやく梅雨入りしそうな雰囲気のマークが並んでいる。チワワと柴犬の雑種であろう犬とすれ違う。身体のかたちがチワワ、耳と鼻と尻尾が柴犬。そういえば昨日は紀州犬あたりの体つきで背中と顔が薄ぼんやりとシベリアンハスキーなカラーリングの犬を見た。

 

アリスが誰のことだかわからない、練り物ばかりを腹に落とす、漫画一冊分の隙間(何が入っていたっけ?)、ペンギン柄のタンブラー、お気に入りの隠語、疲れたから休みたいと言った、言われた、寝ている間に服を脱がされて、相互に意地を張り合って恰好良くあろうとするからあなた方は交わらない。

いま手元に黒いリキッドアイライナーがないことに気づいて少し驚いた。さんずいを潰してもっとしたたかに根を張って。病院の予約同じ日じゃん。美容院の予約も入れた、全部違うため。次はどうしようかな、ひと思いに短くしてやろうかとも思うけれど、でも。またピアスのキャッチを落とした。

 

もっと花が見たい、泣きたいとか泣きたくないとかじゃない、威嚇してるのに不用意に触ってくるひとは苦手。汗を吸わないスカートを履いていたから太腿に汗疹がたくさんできていて、見せる予定がなくてよかったと思った。嘘をついたことがないにんげんも乱暴をしたことがないにんげんもきっといない。総てにおいて至らない。

誰も彼もの頭上にミラーボールもしくは月。ずっとミラーボールに記憶撫でられて過ごしてたい。あなたの与えた致命傷のひとつひとつに命名する。もっとことはシンプルなはずだ、煩雑さはわたしに似合わないしあなたにも似合わない。模倣がいちばんうまいサインなんだって。

ピノのピスタチオは想像以上に美味しかった。