重なってじりじり動いて生じた摩擦熱で削れた肌の色合いに、焦げ消えてもうすっかりなくなったものを見た。
フォークの刃先を押し当てたかたちにとける氷が愛おしい。わたしの手のひらから伝ってゆく熱がそうして変質させてゆく。
いつまでも同じ熱を押し当てていたところでね
わたしの熱はにんじんを器用にみじん切りにして爪の甘皮を燃やすけれど、別の熱に指とてにをはを食わせてしまう。
熱を直に押し当てていればいつかずるりと表皮が剥がれて本当の裸を見ることができるんじゃないかvsそれではだめだよと放射を試みる謙虚の顔を貼り付けた浅黒さ。
ミクロとマクロが本当にわからなくて、
だって見つめようと思ったらどこまでも潜れてしまって、それは目線をどんどん引いてゆくのによく似ている。
世界に通る理というものがあるのなら、潜っても引いても結局同じものに行きつくような気がしていて、だからわたしは見分けがつかない。
散逸と集中はお互いの尾をくちゃくちゃと嚙みあっているから、深く耽溺しても透徹を見上げても、等しく味のしない歯形が残るよ。
その歯形を指先でなぞって、散逸の不在をわたしが埋める。いずれ舌先で、もっと正確に凹凸を確かめる。口を開いて尾を噛む。自分が集中か散逸かも不明瞭のまま、回り続けてチーズができる。噛まれた右の小指が炎症を起こして死に至るその日までずっと風力発電よりも確実な頻度でぐるぐるぐるぐるぐるぐる
身体中にまぶした砂糖が全部ふわふわの繊維に変わって、雲みたいな甘さをあなたに差し出したい。
あとお気に入りのしょうゆとわさびも教えてあげたい。
抽象と具体ももたつく有様だ。
齟齬がないように話そうと思えば思うほど言葉の関節が変な方向に曲がりはじめる変わるもどかしさを、伝わる言葉で話そうと思えば思うほど変質してゆくうち気味悪さを、丁寧にすると崩れてゆく恐ろしさを統率する筋の一本ピッと通っているのを大事に蒸したささみを食べましょう。