ル子音

気に入っている水色を引き延ばして表示させたら青色にしか見えなかった。

そのときのわたしは面喰ったのは「こいはみずいろ」と訳した瞬間がかつて存在したせい。恋の色には見えなかったが、とはいえL'amour est bleu、結局恋の色だったのかもね。まあなんでもいい。

 

水色は熱と眩暈の色だ。水色を名乗るからにはちゃんと熱さを積載していないと嫌だし、そもそも水の色だなんて思ったためしがない。ひんやりとして見えたならそれは罠で、あなたはとけて汚く水色にへばりつくナイロン。そんな不純物が貼りついたって水色は濁らない、純度を保って燃え続ける。

そこと比べると、赤は温度自体は高くない。身体をさっくりと開いたら流れて出る液体はせいぜい40度で、それが赤の本質的な温度だと思う。でも抱え込んだ熱量はとてもばかにできなくて、そう、赤は熱がこちらまで流れ込んでくる。内側が熱いよってぜえぜえ喘いで、煮えていない赤なんてどんな価値も薄いし、物理の話はよそで吸って。

 

黒にワンポイント赤を差すのがかわいいと雑誌で紹介されていたのを見たのは思春期の話で、じゃあ翻って青もいいはずだよねってどこかで思った記憶がある。

2年ほど前に求めた青いワンピースはとても気に入っていて、ついこの間も着て過ごした。

最近は全身を黒でまとめたい気分なのだけれど、そしてそれは概ね似合っているのではないかと思うけれど、この青いワンピースは誰よりも自分がいちばん似合っているはずだと思い上がれるから胸を張って歩ける。「あなたのいいところが全部出ている服」と褒められて嬉しかった。

 

肌は少し冷たくて、触れているとゆっくり湿り始めて、よく馴染む頃合いに熱を交換する。他にやることはないと思える。

熱の色で身体をくるんで、血の色を唇に置く。身体中のどこに触れてもあなたが焦げて煮えたらいいと思う。強い眩暈を伴って。