狂気はそこに存在しない


わなないて指の関節が丁寧に丁寧に曲がるのです、骨を歪ませる緻密な暴力は私の上半身を突き抜けて旋毛から空へと抜けていった、おはよう君は少し死にたがる。ほど近いところまで重ねても臨死は死ではない。だから、あの日受精してしまえばよかった。髪の毛がさらさらと抜けてゆく、重ねる余地が、微塵もなくて。
消えた日、うるさく泣く塊の中央だけは静まり返っていた。