暗いイチジク

 

寸分変わることなく重ねることのできる葬列。つやをもたせた唇の桜色が非現実的だったからわたしはいつだって紅を引いていたい。腕を失くしたほとけさま。

わたしの頬の輪郭を見て。

頭の中に入れたものだけはどこにでも持ち歩けるって知ってるから。

そのふたつくらい。あとは胡散臭いまでに片栗粉でとろみを付けたコンソメスープに泳がせるロールキャベツとかね。昨日はあった現実味が今日は乏しい。2ヶ月前には抱かれていた子どもが今日もう歩いてた。