「カーペットの傷みが」

カーペットの傷みが急に気になって気になってどうしようもなくなって、突発的に捨ててしまった。剥き出しのフローリングはなぜかざらざらとしていて、このあとの雑巾がけの手間を考えるとうんざりしてしにたくなったり、した。
やれやれ。

雑巾をかけてもざらざらは消えなくて、でももう一度かける気力も無くて。やっぱり愛すべきものは惰性、そう惰性だ。カーペットを外しさえしなければ、このアパシーも回避できたのに、なんてどうでもいいか。なんだか部屋も広くなった気がするし。

どすんとフローリングにクッションを置いて寝転がる。
疲れた体にひんやりとした木がふれてなんだかほっとした、なんてことはなく、実際のところ、汗かいた体にまとわりついて気持ち悪いしおまけにざらざらしてるし、なんて不平不満で一杯だった。

それでも、
それでも傷んだカーペットとはばいばいできたから。
一歩前にすすめる気がする?
なんどもくりかえしては裏切られる、そんなくだらないもんをまだ感じている自分に苦笑いだ。

部屋の電気を消して、再びクッションに寝転がる。まあくら、こんな夜にはwaltzがぴったり。となりの安っぽいアパートの非常灯のみどりが目障りだな、ぶちこわしたいな。

雲の切れ間から見えた月がやけに眩しくて、直視できない夜。