いつかのスウィープ


死ねばいいのにと羊に囁いたはずが、なぜに貴様が死んでしまうのか理解に苦しむような猿に過ぎぬ私ですが、それでも貴様の亡骸は美しく、その美しさだけは充分にわかるのです。
サーモグラフィーに引いた赤について思うことはありませんが、それが冷め行く青と水については耳鳴りが致します。
斜め右から降り注ぐ疑念はとっくの昔に決着が着いたはなしでありましょう。
月経が来たのだと不妊の貴様はさんざめく。
笑う亡骸。
所詮、スマートフォンとセックスで貴様の思考の七割は。


紫のチェックさえもさんざめくのが夏だと言う、肩掛けの鞄が気難しく歪んで笑顔のようです。
不穏に流れて滝に注ぐ積乱雲について思うことはありませんか?
珈琲がおいしい店は知りません。


インダストリアルを開けようかと思い悩む貴様はまるでシープドッグのようだったので、似合わない、と指摘をしたかった。
本当はエナメルのヒールも不自然だと言えなかった私の脆弱さを許してはいただけませんか。
そもそも貴様はヘッドフォンよりイヤーフォンの方が落ち着きが良いのです。


そうして、いよいよわからないのは、貴様の探す回答というものです。
笑う亡骸の骨は軋む、明日こそ死ぬと泣くのです。
ありもしないアコースティックギターを爪弾くと豪語するのは自動販売機のボタンですね?
雨だけが。
サーモグラフィーまでが笑い、泣きました。
部屋もからりと回りだします、それが証拠ではありませんか。


名前を。


どうして触れ合い、痛みに亡骸。
積乱雲を紫に例えたのは貴様が初めてで、終末。
甘美でもないその名前を、響きを、例えても構いませんか。
名前を。


やつれた亡骸にケミカル、見掛けるのは私。
どこまでも走ったからだと腐れ落ちた唇さえまださんざめく。


走り抜く、走り抜くと言う。
相も変わらず頬は抉れ、その音に橋と怯え、震えた手が散って見せたから、貴様は桜とパン屋が気づいたのです。