粘膜のてらりに

 

無害で平坦なにんげんの生活に慣れることなんて絶対にしないで、生々しく賭けて駆け続ける畜生の日々を送って。ここ以外で喉を枯らさないで、ここ以外で膝をついても何事もなかったふりをして。血を流して泣くのは痛いからじゃない、血が流れたことが悔しい身体、思想、繋がるように縺れるように。溶け合うまで生きるだけ、わからないひとは看過して。痛みも悔しみも消えないけれど皮膚だってなんだってターンオーバーして剥がれ落ちて、代謝して置き換わって、それでも痣に残る色。

どうにも痣が残りやすい体質だったので調べたことがあるのだけれど、「痣を作らないためには障害物にぶつからないことです」という助言を見てやけに白けた気分と痣のコントラスト。ひとなまをもっと惜しみなくぬらぬらさせて、あの眼球よりもっと鋭利に。夜の生ぬるさに惑わされない。