信じるものより君が欲しい


リズムを取るならやっぱり腰と肩、でも体幹が貧弱だから自分のリズムを支えきれなくて千鳥足みたいになってしまいがち。それも一興じゃんって大抵は思っているけれどそれはそれとして筋肉のついた美しい身体はいい、音楽に溶け合う身体。

 

特に意味もなく夜の新宿を3時間くらい歩き回った。ホストクラブの看板を一枚一枚眺めたり、解剖学的な角度から男女差について考えたり、ハサミムシが落ちていたキャベツを食べるのを見ながら茄子みたいな色だなと思ったりした。換気のために窓をあけているのだろうか、ホストクラブの前では店内の様子が伺えるくらいの声が聞こえてきていて店横の看板にも写真が載っているAの誕生日イベントらしいことがわかった、顔写真を見ながら蟹座のひとなんだなあと思った。万歩計を信じるのなら歩いた距離は20000歩のほど。


この先きっともっといいことしかないから胸が薫風で満ち満ちている。過去は変えられないけど未来は好きにできる、変えられないって言ったけどそれだって考えようだけで、暇があるなら事実以外は解釈し直すことが可能だし。指先ひとつでなんだって変えてゆけるって眩しい。体液を舐めた。

ペテン師なんじゃないかと思えるくらいの胡散臭さを纏った飄々さで内臓ぶちまけてるのにつくづく弱い、それの血が本物なのか実際のところは重要ではなくてでも嘘なら騙し切って欲しい。魔法みたいに使って欲しい。指先を振るだけで地軸を簡単に揺らせるよって笑う無謀に賭けたい、そのためにはまず本人が自分の無謀に賭けているというのが最低条件ではあるけれど、惹かれるようなひとは既にきちんと賭けているからあんまり問題にならない。


なんだろうこのイケる感、いいね、と思ってたら携帯水没させてわたわたしてたら枕元でコップひっくり返したりどうも水難の相が出ているし2週間前くらいに開封したばかりのライトニングケーブルはもう死んでしまったみたい。つい先月くらいまで4本あって余らせてたのに、もう出先の雑貨屋で慌てて買ったものしかなくなってしまった。

免許の更新もしたけどあんなにばたばた写真取られるとは知らず、新しい免許証を見たら髪型が酷い。向こうしばらくこれを使うんだと思ったらちょっと気落ちしたけど、それって自分はもっとよくできるっていう確信があるってこと? うん、やっぱりいいね。

脳がクリアな感じがする。全部抱いて全部捨ててこの身体を媒体にして代謝を重ねてたくさんアクセスしてゆけそうだ。ミラーボールはちゃんと回してくれないと不完全燃焼になる。わたしの身体は女性のそれだな、と関節の可動域とか骨盤の傾き具合を確かめた。土砂降りのなか鞄を開けて傘を探すほうが嫌で、頭から全部被って歩いた。白い薄手のコットンのシャツが身体にひたひた貼り付いて、電車を待っている間透ける肌色を見ていた、シャツを赤く染めないように皮膚が血液を留めている色。外は雨でもわたしの身体はここにあって、眠かったりだるかったりするけどいつでもちゃんとわたしでいられる。