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一晩したためたあたりでおかしいことがわかったので足を止めた。破れて消えた布もの、掃除用品一式、食品なんかを7000円分くらいと7時間程度の労働力を差し出して、1時間歩いて電車に乗って川を2本渡って帰る。そうでもしないと地に足がつかないとわかった。臥せる友人の呻き声を聞きながらカビたシンクや夏から放置した果てのものをひたすらにこすりつづけて、ぬめりが取れてゆく感覚に丁寧に意識を注いでいた。舐めて?って言われても平気なくらい綺麗にして、夜にはゲームに引き篭もる友人の邪魔にならないよう家を出る。日が落ちていて、寒くて、ジャケットの前のボタンを全部留めて襟を立てて、誰もいないふらふらの寝床に帰る。あるいは次は自分の部屋でも掃除したらいいのかもしれないけれど、あいにく散らかっている原因がものの多さであるわたしの部屋には食べかすを取り除くみたいな簡単かつ腐心できる作業がない。こうやって歩きながら文章を打っているとあらゆる季節を思い出す、いつからフリック入力に変わったんだろう。何度も殺した神様をまた引き摺り下ろす。あの頃はにやついてみえた彼は無表情のわたしに足首を掴まれて見下されている。それはもうお前はつまりさ。謝るくらいならやらなければいいのに作用反作用、握られたのと同じ強さが握った手に残る。ああいやだ。それを責められたように感じるその、その目線が大嫌いだ。お前がね、お前が全部為したことだよ。