殴って蹴られて踏まれている、笑われている、怖いのに動けない、それをみて笑われている、そのうち笑われもしなくなる、反応していること自体をうざがられてまた殴って蹴られて踏まれる、ずっと舌打ちが降ってくる、舌打ちのひとつひとつが身体に撃ち込まれるホチキスに似ている、怖いことだけ伝えたいのにそれだけが伝わらない、「殴らないで」「自分はこういうにんげんだから」「痛いの」「痛いんだ、それで?」言いたいことがあるなら喋れと言う、怖くて震えているとまた殴って蹴られて踏まれる、髪を掴まれる、頭を打ち付けられる、そのうちつまらないと言われる、何も言わないなら別にいいということになって、喉が動かない、水が欲しい、「そうなんだ、水が欲しいんだね、それで?」、喉が動かない、そして舌打ちが降ってくる、「言いたいことがないならもういい、今したことは全部忘れて、自分は今から忘れるから、何かあるなら書いといて」、呼び止めても無視されて扉が閉じる、水が来ることもない、書き綴る余力もない、それでも伝えなくてはいけない気がする、次こそは聞いてもらうために言葉を整理する、「お前は何をしてるんだ、何も書いていないのか」、そしてまた気まぐれに殴って蹴られて踏まれる。暗転はしない、わたしの気は狂わないからだ。気づいたらその顔がぶれにぶれて、あいつの顔、その次にあのひと、それで、おねがい、ぶたないで、