3枚の膝掛け~それはストールですよ~

 

目の裏側にゴリゴリやすりを掛けられていて額の裏が嫌な感じだ。

だとしたらそれはわたしの責任ではない、という言葉を飲み込む。イーブンにはならないってわかっている。

イーブンになるんだったら誰もかれもこんなことにはなっていなくて、それでも条件を削ぎ落していったらイーブンでしかない。つまりは縮尺によって可変であること。そのことを知っていて巧妙に隠そうとしたり煙に撒こうとしたりするのはずるいんだ。

オーブンはどうだろう、こんがり焼けるって肉村さんが言っていました。ローストビーフもクッキーも焼ける、場合によっては消し炭にできる。死んだらダイヤモンドになれる。普段あんまりすすんで食べないんだけど、タカノのマンゴープリンはおいしかった。

 

東京を歩いていて好きなひとに会えたら素敵じゃない?って来日している様子を見て思っていたけれど、あれだけ大きかったらすれ違いざまにわかるだろう。そうとは知らず同じ花の匂いを嗅いだ。オブジェ、ラグランジュポイント風神雷神を両胸にあしらって大胆に湯船にin out in out in out 大事なのは水圧と風量 check it

ほとんどだけど

 

ここは風通しが良くていろいろなものがよく見えます。こうやって画面を見もせず何も考えず指が動くがままに文字打っています。それでいいんです、少なくとも今日いまここにこうやって書いて生きていることを残そうと思えることがわたしは嬉しいから。

今年あったよしなしごとを振り返るまもなく寝込んでしまった年末だったけれど、何も置いていけないし全部置いてもっと先まで行きます。細胞に染みている分だけは余さず持っていく。

本年もどうもありがとうございました。

 

"眼差しの数だけディティールは立ちのぼる"

 

どうもひとに好かれるような文章じゃないから、そちらの眼球こそぐるぐる回転してしまっていますか。唇にあぶら取り紙を挟んで多く塗りすぎてしまった口紅をやさしく剥ぐように、日々の微小な震えをそっと感知して写し取っています。

 

鼓動が三拍子で脈がない。感知できない震えもあるのだと思った。あなたはもうじき死ぬね。付点をつけてつんのめる。こうなるって思ってた? 面倒くさいって思った?

わたしに食い殺されないものが好き、でもその強度がないのならちゃんと手加減するから安心してよ。お墨付きの魔法の鏡としてそれくらいのきょうじはあります。

 

最近の安息日のどこかで、マリアと天使になって受胎告知をする遊びをした。そのときあの大きなおなかを演出していた中身がもう外気に触れて酸素を吸い始めたらしい。毒物のクイーンにおかされてゆくあなたを見るのが楽しみだ。

上野で展示されている毒の中にもちゃんと酸素はあった。「少量なら気付け薬になれるひとだけど」、見ているわたしも陳列されているようで、それはおおむね正しい分類であると思う。そういう話をしたらあたためる塩を頂いた、満月も毒になるのだろうか。寄り添うように隣で光っているのは火星で。

 

よもや発掘されるなんて思わないでしょ、1年半の地層が歪んで笑ってる口元みたいだ。その口元にもあぶら取り紙をそっとあてがう。

はてのないおないたに

 

あなたに背中を向けたのはこの12年余りで、つまり人生で初めてのことだった。常に眼差しの対象だから外すことなど考えもしなかった、それでも背を向けて飛び降りた、流水の中の砂金を掴むくらいの無謀さを持っていたために。ほんの5分余りの出来事。背中を向けた甲斐があった、ちゃんと掴めた。ゆえに今週の日曜日には予定があります、あるんですわたし予定。

 

 

大きなハブに丸呑みにされた数時間後にあんみつを食べた。ハブに吸い取られていくあんみつ、あんみつを媒介するわたし。食べてみたいものがあるんです、上手にやらないと死んでしまうけれど。でも「上手にやらないと死んでしまう」なんて、普通に人生とか生命とかの性質だから何も特別なことじゃない。

 

 

焼肉で汚れる口元を正面から見ていたのは昼、すっかり脂を拭った頃、今度は同じ口元に金属が貫通している。顔にたったひとつ穴が開いただけでどうしてこうも気持ちよくなるんだろうね。享楽的に堕落してあなたにはとても言えないことを全部洗いざらい吐いたっていい。わたしもピアスを開けたいなと思ったけれど何も思いつかなかった。顔面に穴が開いているくらいで肌に絵が描いてあるくらいで排他してくる社会のことが本当によくわからない。そういうルールに否と言いたがる面倒くさいひとをまとめて排他するための踏み絵というなら納得ができる。青しかなくて緑しかなくて、職人が織った傘の美しさを知りました。

 

 

ドライアイスを口の中で転がす生き物を見て、それから鉄板の上で恥を焼いて飲み込んだ。少し淋しくなりかけるのを忘れたがるように固まらない水飴が垂れ続けるから手も口もねばついた。性質としては淋しさのそれと変わらないかもしれなくて、それをお皿においてしばらく忘れたふりをする偽物みたいなふたりの真横で、ガタイのいい男がガタイのいい男の額をはたく音が鈍く聞こえる。麻薬の密売、マネーロンダリング、全部をじゅうじゅう焦がしてゆく鉄板。なんでも食べられます。必要なら媒介します、あんみつみたいに。どうですか?

 

 

タイトなクレイドルに組み込まれてるこれは人外の血を引いていてひととこに留まる頭がないらしい。放浪しているから自分に関係ないでしょって笑って、鼓動を早くすることばかり考えている。

餅と発砲

 

ラメの日。大きく横に開く口だから笑うたびに花が咲くようで、嬉しくて泣けてしまう。何色が見たい?と聞いたのは半ば苦肉の策だったけれど、紫だと即答するものだから。バッグ、ピアス、ベルト。次々にものが壊れる日だった。加えて、そこに合わせてスキンケアしたつもりだったのにここしばらくのなかでは最悪のコンディション。まあ吹き出物も確かにわたしだからテンションが上がっていたのでしょうね。名前の色に因んで。ねえ、そんな風に報われてしまう。よく晴れた日だったからラメもますますキラキラ反射して、空っぽのわたしまで誇らしいのがおかしくて泣ける。ぴょんと飛び跳ねてゆく勇ましい姿を微笑ましく思うような相手で本当に良かった。

 

清らかなまま差し出したい。わたしに差し出せるものがあるなら、まだ清らかでいられるとでも? いや、そもそも何をもって「清らか」なんて言う。そうじゃない、この汚れがわたしなのだ、自分で自分を使って作った染みだ。これを好いてもらわないことには不在も同然。それでも、清らかなまま差し出したいと祈る気持ちは矛盾しないだろう。そんな風に普通でいられない。昂った気持ちは何かに叩きつけずにいられない、そういう気性。だからわたしここにいます。