硝子の肺

 

落ちているコンタクトレンズが反り返ったかたちのまま乾いて固まっていて、縁のぬるいきらきらが鱗みたいで綺麗だった。同じ目線を通過した眼球ってないんだよね、右目と左目も違うものを見て脳に丸投げキメてるし眼球の数だけ真実がある、となると両目が使えれば一人当たりふたつの真実があることになるんだけれども、そんなの誤差だよねってくらい世界はたくさんの真実に塗れているし、それはファンタスティックの類だと思う。それぞれの世界がぎゅっと圧縮されてチョコスプレーときどきアラザンまぶしたみたいな足場、長い夢ではなくて大きい夢の真っ只中。
好きな本を読んでいたら夏々しいことに気がついた、清潔な白のイメージは夏に結節する。100年の時を超えて詩性を覆って帰った。