ランコム グランディオーズの呪い


嬉しい夢を見た。あんまりに嬉しいからこれは夢だとわかった。現実がそんなに甘いはずがない、わたしの日々はもう少し苦い。起きてまた落ち込むのは目に見えていたから、少しでも長く眠りたいと念じていた。夢の中で非現実だとわかりながらわたしは喜んでいて、浅ましいなあと思った。

ちなみに同時上映されたのは佐藤勝利が高級カニ缶を追い掛けるという夢で、これがまたよくわからなかった。牛追い祭りの勢いでカニ缶を追うたくさんの男、カニ缶を追って森林や沼地の中まで行く佐藤勝利。目的である赤いラベルのカニ缶は得られなかったが、誰も知らなかった青いカニ缶を掲げる満身創痍の佐藤勝利。何を見ているのかはまったくわからなかったが、なんにせ起きたくなかったし、起きてからは佐藤勝利の勇姿を思い浮かべることに努めた。本日のMVPが佐藤勝利であることは起きる前に決定していたというわけ。何この夢。何この二本立て。

 

 


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散々繰り返しているが、わたしはとにかく強いし滅多なことでは壊れない頑健さを持っている。粗末に扱ったって一向に平気。簡単に損なわれて差し上げるわけにはいかない。あなたもわたしを壊せない、誰もわたしを壊せない。

 

鶏が食べたい気分になって、お気に入りの小さな焼鳥屋さん、とりわさや卵焼きなんか含めて隅々までおいしい焼鳥屋さんがやっているかを見に行った。数ヶ月前にも行こうとしたのだけれど、疫病下だからなのか閉まっていたのだ。今なら、と思ったけれど「貸しテナント」とグレーのシートが被せられていて思わず立ち尽くしてしまった。哀しい。

 


金曜日に散髪をした。
美容師になった友人は身体を壊したのと結婚するのを理由に今月で退職することとなっていて、滑り込んだかたちとも言える。

「断髪式だね」と言いながら結んだ髪にざっくざっくとハサミを入れ始めた彼女だったが、全然切り終わらないんだけど、と笑い始めた。わたしは毛量がとにかく多い。「君の骨格に合わせるなら、もう少し長めに残したほうがいいと思うけどどう?」「うん、わたしも長めの方が似合うとは思う」、それでも25cmくらいは切ったのではないだろうか。パーマも当てたのだけれどお互いの想定のように入らなくて、「ごめん、これじゃあただの綺麗なお姉さんじゃん!また来て、直すから!」とのことなのでまた行くこととなった。素敵なのだけれど、わたしらしくない穏やかな髪型がおかしくて仕方ない。

 

それにしても酷く右目が痛い。昨日マスカラをしようとしたときに酷く身体を揺らしてしまい、右目に突き刺してしまったのだ。昨日はそうでもなかったけれど、寝て起きたら目が開けられないくらい痛かった、目薬を刺そうにも開けられない。それでもどうにか開けられるようになってきて、じゃあ落ち着いたかなと少し屋外に出たら少しの風や光でまた痛みが戻ってきた。とても開けていられないが、左右の視力差が酷いため右目を開けずに生活ができない。困った。ランコムめ(ランコムに罪はありません)。

 

 

 

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11月なのにTHE NOVEMBERSを聴いていなかったことに気づき、自分の余裕がなさを自覚した。丸一日THE NOVEMBERSを聴き、ふと聴きたくなってAIRに変えたら今度はずっとこっちを聴いている。

 

「愛し愛され 憎みあう 何のための肌だろう」という言葉を目にしたのがいつ頃だったかは覚えていないが、脳に引っかかったので調べて、AIRというひとのdaybreakという曲だと知ったのが確かいちばん初め。ゆえに、最初に聴いたのはoneというアルバムだ、1曲目にdaybreakが収録されている。しかしCDの読み取りの不調でその曲だけ聴けなかった、従って最初に聴いた曲は2曲めに収録されていたStarletとなる。昨日からStarletをずっと聴いている。

AIRのことを特別好きだと思ったことは一度もなかったのだけれど、そのわりにはしょっちゅう再生をしているから好きなのだろうなと思ったのはたぶん2013年くらい。現在はLaika Came Backというプロジェクトを行っていると知ったのがその頃のようだから。決まった数枚のアルバムしか聴かないけれど、好きなんだよね。

 

歌詞の意味などはよく理解しないまま、Starletの曲に見る愛情と哀しみだけは吸い上げていて、その慎みや祈りが好きで聴いてきた。2回目のサビ以降背景で鳴っているワウの聴いたカッティングが祈りを遠くまで運ぶ、全編通して流れているドラマティックなストリングスも目立つけれど、この曲の感情の本質はこらちの音に帯びている気がしている。


とはいえStarletよりLast Danceのほうが再生回数は多いし、他にも好きな曲はあるのだけれど、なぜ今こんな話をしているのだろうね、したくなったからだね、かんたんなことだね。わたしはつくづく祈りが好きだな?

 

「どうか何も言わないで あしたを見てて」