鼠族shuzu

 

 

こんな夜に喉を割くための言葉を探してはイソジンごと飲み込んでいる。

今日は大した外出をしなかったからマスカラを塗らずアイシャドウと口紅だけで済ませた。使った3色のアイシャドウを片付けながら、思えばどれも紫に分類されるものだなと気づく。そもそもグレーだと思って買ったCLIOのWlid thingをアイホール全体に、目頭側のアクセントに青と紫のあわい、紫陽花のようなOSAJIのGyakusetsu。物足りなかったので限りなくピンク味の強いマジョリカマジョルカのトワイライトを二重幅に入れた。

とにかく最近左眼がひどく痛む。どこに傷がついてしまったのかわからないけれど洗顔を終えるたびしばらく片目で泣く羽目になっているから、そろそろ眼科に行ったほうがいいのかもしれない。
どうなっているのかと涙を流しながら瞼をめくって鏡を覗いたら亀裂のように血管が走っていてなんだかどきどきした。本当はこれは眼球ではなく有精卵で、ずっとずっと眼窩であたためてきたがついに孵化の瞬間を迎えているのならどれだけ素敵だろうか。そこで記憶は途切れて死んだ。

往路では持っていなかった本を3冊抱いて復路……って、欲しい本があったのを書きながらいま思い出した。思い出しちゃった。
あなたがそう囁かなくても、耳に唇を寄せさえしなくても、わたしはずるずると引きずってゆくからね。忘れてしまうよ、それだって忘れてしまうんだろうけれど、だから味わえるうちにたくさん味わって自分の身体にしてしまうんだよ。身体はわたしの所有物。いつか死んだら輪切りにしてね、虹色の年輪をお見せします。挟まる異物、カステラの皮に挟まってると嬉しいザラメみたいなものも全部お見せします。わたしが生きる身体のすべて、ここで生きるために用いた肉のありさま。

 

セブンイレブンでチューハイを無料でもらえるらしい、そういうくじのあたりを引いた。獅子座の季節に入っている、とびきり大粒の肉厚なアメリカンチェリーが届いたからそれを食べている。確か一昨年はウイスキーに漬けたはず、あとで確認してみよう。