ETERNAL IN PINK

 

Love and Sensitivityという名前と朝顔よりも淡く桜貝に一滴青を垂らしたような紫の滑らかなパレット、内側に収められた様々ないろあいのピンクの鱗粉。わたしのためのだ、と思ったので数年ぶりにそういうのをそうした。好きなものは好き。少し気取ったおしゃれをして出かけたい、というより、おしゃれをしたいと思いたい。

非常にふてぶてしいブルーグレーの大きな猫は喜んでわたしのネックピローになった。魚のかたちをしたアップルパイを持参したのがよかったのかもしれない、それとイッタラのお皿とクチポールのカトラリー。

 

赤く透き通って青く透き通って欲が歯欠けしていくのが心地よい。自分の身体のなかのものを全部入れ替えたい、総ての血管に純水を通してこびりついた血を洗い流したい。純水は身体に障るというけどそんなことは些事だ。踊ってないと死ぬからずっとミラーボールの下にいようね。誰もいない部屋を抱えて暮らす。

勝ち気を搭のように打ち立てて無敵のモード。今日でセクシー時代の幕開けから10年だって。ねえ笑ってよ、それとも笑ってる? どっちかじゃないとやだ、血を吐くくらいやだ。笑って、笑って、笑って。リノリウムに膝をついたときの音を適切にひらがなで表現してごらん、その音の純度の高さとこの祈りの純度の高さは正比例で結ばれる。
うっとりしたい、うっとりさせたい。この世界の広さなんて大した問題じゃない、どこまで集約できるかがだいじ。そして集約したものをどこまで拡大できるかもだいじ。身体が辛くても呼吸はとめないままでいて。ぴりぴりぴりか、互いにくるまって眠る。

 

わたしは今ここにしかいない、今にしか生きていないけれど、そのうち未来のほうが次々にわたしにキスしに来るようになるって知ってる。そんな未来の背中を軽やかに踏み越えて、着地した今だけにしか生きられない。水中で呼吸ができないのと原理としてはおそらく同質じゃないかなあ。

月と引き合う火星、冥王星。空きれいかったよ、もうすぐ満月。さみしさを食べて生きてはゆけない、それでもさみしさだけでは死ねない。連れてかないけど置きざりにもしない。あなたの心臓に住む泡になりたい。質問に答えようとして随分記憶を失っていたことに気づいた、ぼろぼろに引き攣れたケロイドみたいな履歴。忘れても困らなかったよ、なぜならわたしは今ここにいるから。孤独は一生拭えないと思った、嬉しくも哀しくもなかった。わたししかいない、これは全く正確な話なんだ。