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名前を刻む墓石なんてない。わたしが自分の母で自分の墓で、今日ははんぺんを食べたのではんぺんの墓にもなったはずだ。生のとどめにわたしがいて、揺り籠の死神を寝かしつけている。この限り、これが総て、サラダに入っている玉ねぎくらい全部さらされた剥き身の自分。

 

なかの方にまで会いにきておいて哀しそうな顔をしないでよ。息遣いまでわかった、泣きたいのはわたしだった、もう一秒多く眠っていたらきっとわたしも泣いていた。でも泣かなかったし、仮に泣いても柔らかい眼差しを向けられたのだろうなと思う。細胞が忘れない。

 

プロにヘアメイクをしてもらう機会も、自分の身体に添わせたとびきり美しいドレスを着る機会も、それらを纏った上で写真を撮られる機会もない。かといって理由もなく施してもらうのは違う気がするから、自分で自分で施すことにした。自分を美しいと思えたことがない、だから美しいひとになりたい。
少しずつ輪郭線は整ってきているから、このまま空気と空気の隙間に挟まってとろけ落ちるような薄い身体になりたいな。あとは眉を綺麗に整えて、次はメイクの研究をする。遠くないうちに髪も整えに行きたいしスキンケアも見直したい。
生まれついての美人にはなれなかったからこそ、自分の納得が行くまで付き合ってあげたい。そして、できればいまのわたしは美しいと胸を張って歩けるようになりたい。今日は真っ青のリブのワンピースを買って帰った、これを着ているわたしは絶対に素敵だから。自分のために美しくなりたい、そして美しい状態で会いたい。全然余地がある、まだきちんと美しくなれる。

 

この世界のあなたは向こうの世界のわたし。万物からやってきて、そしてわたしに還る。おかえり。わたしの胎に全部含んだ、しばらく抱いているからよく休んでね。飽きたら追い出して疾走する空気の隙間に融けるほど早く。やりたいこと全部やる。いまならできる、ここで跳ばないなら一生そこで怠惰してなよ。ばびゅーーん!

 


それからこれは最近立ち止まった曲です、Aqours初めて意識して聴いた。少ない音数が洒落ててシティーポップじみてる。

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