19335歩


虚像ではなくて鏡像、鏡です。
どういうことなのと叩かれて割れてみれば、ひっそりと無限の虚空がみちていました。きらきらと鏡が降ります。それだけのことです。外には何の秘密もないのでした。あなたの手は血塗れで、そのひと本当はいなかった、誰の夢なのってドロシーのクエスチョンに返すアンサーは光の鱗。
忘れていたことを思い出した、というよりは肉より当然のことだから意識になかった。わたしはどこにいるかって、強いて言うなら叩き割ったそれ、それがわたしです。そして砕けたのは映っていたあなただった。床に散らばるわたしは苦しむあなたを映している、あるいは映しているから苦しいの?
眼を閉じても探し続けてしまう、そうして言葉の意味をようやく理解する。神経を束ねて耳にかけて重たさを感じながら顔の上半分に詰まった筋肉を総動員させて見るだけ。映す、光の反射、鏡面を往復する光。光速で移動している光、白日の下に連れ出したら輪郭が曖昧になる? いいえ、もっと強力に眩しい光でしょ。

四ツ谷で降りて、麹町、市ヶ谷、九段下、神保町、御茶ノ水秋葉原御徒町、上野まで歩いた。といっても言うほど長い距離じゃない。靖国通りにひとが多いと思ったら千鳥ヶ淵で灯篭流しとのこと。そんなイベントをやっていたのは初めて知った。上野では不忍池へ、とはいえ夜だと蓮も開いてない。不忍池は好きだけれど日中に行くことはまずないから咲いた蓮の写真なんてほとんど持ってない(少しはあるということ)。

 

暑い中買い物行って、こんにゃく麺と玉子豆腐とゼリー買って帰ったらくったり疲れてしまって、そのまま夜まで眠ってしまった。買ったばかりのゼリーを食べてまた眠った。鏡のことをずっと考えてる。見えているあなたの鏡に映るもの、像の歪み方まで。ノコギリみたいに鏡も折り曲げて音を出してびよびよ遊びたいな、シンセベース特集の雑誌を繰る。