19:23

やさしいホテルが一夜で見えなくなったから今日はさみしい夜

:::

だけどだからやさしいホテルのはなしする

やさしいホテルは昨夜ひっそりそびえたのでわたしは一晩うろついていた。ブロッコリーの作るおいしくないカクテルを飲んだり、なまぐさい住民と話したり、ぶたの持つ包丁に怯えたり、ドアノブの血を舐めたり、写真や落ちているメモを拾ったりした。ゴーストたちに挨拶をするたびに少し素敵なひとになった気分で、タルトだけが買収されているのを知った。静かな夜に、ぬのがねぎらってくれて嬉しかった。ぬのがお酒を飲む背中を見てあとにして、また遊びに来るのを楽しみに、1日過ごしたのに。やさしいホテルはやさしくない。さみしい。わたしもあそこにいたいよ。宵が来る、空が傷つく。死体写真を拾いに行くの、ゴーストにそっと挨拶するの、おいしいごはんを作ってもらうの。やさしいわたしのホテルGK。

さみしい

 

23:57

どうにも頭痛がひどい。酷く張り詰めた気分が続いていて動悸も収まらないたけれど、前述の昨日のやさしいホテルで久々にようやく気が抜けた感じがした。素泊まりショートステイ。もう少しいたい。ここ数時間ずっとそればっかり考えてる。

わたしは愚かなので何度でも信じて哀しくなるけれど、この愚かしさできっと自分を救うしそのときはあなたも救われると思う。別にあなたを救いたいという話ではなくて、そういう美しい円を描くことは当然わたしにできる。糸があり、芯があり、コンパスはなくても円は書けるね? コンパスを探して泣かないでいい、手を貸して、糸がないんならわたしが髪を分けてあげるから。そのために伸ばしたんだよ、円を描いて球を作ろう?

とにかく左のこめかみばかり痛い。いーたーいー

 

今朝の満員電車では突然電車が停まり電気が消えた。ぎゅうぎゅうに詰められて不本意な位置に身体を運んでしまって、なんというかあるのだ、腰のあたりに嫌な空間が生じる感じ。そしてこれはきっと故意ではないが掠める位置に男性の腕があること。抱かれるように胸板に押し付けられていること。
何もかもが偶然だが、万が一いまと思ったら一気に心拍数が跳ね上がって、圧迫されてる胃が吐き気を催す咳を出し始めてもうだめだと思った。まもなくして電気がついて電車は走り始めた。変に触られることはなかった。いまでも思い出すよ、触るだけ触ってホームで突き飛ばして走っていった長身の男。通勤時の不本意で警察まで行った回数は4回。特定できない回数はもっと。こういうことが意識に上がるから、具合が悪くなる。

ひとが少ない暗い電車に乗って遠くまでいきたい。こんな苦しい朝にではなく。遠くに行きたい。この間、夜の海沿いを歩いた。当然街路灯のない海側の星空をずっと眺めていたかった、飛行機が燃えても手先はいつまでも冷たい。