あっかんべ

ふと。


わたしの好きな男はみんな誠実なところがあって(潔癖な誠実ではない)、だからとても哀しくなる。報われなさすぎるだろういつだって。慰めも同情もいらないけれどできるものなら慈しんでくれ、なんて傲慢に思っては苦しめる。もう解放したけどねみんな。

「僕今現在君が好き好き大好き愛してやまない」
「わたしずっとあなたがすき」

この差、歴然たる差。今現在に注がれる熱、それを数年分に引き伸ばして逃がしていた。好きのへそくり、が余ったまま解放して、気付いたらこのへんに空洞。持て余した好きは癌細胞と同類で身を切ってゆく。膨張してゆく……ああ!
求めてやまないなんて笑うのも哀しいかな。だって始まりも終わりもなくて永遠に引きずり続ける記憶の中で輪が閉じない。



……。

わたしの好きな男はみんな誠実なところがあって(潔癖な誠実ではない)、だからとても哀しくなる。
触れてくれるだけで総て済むこと。愛だの恋だの騒々しい感情は、ミンチにしてから黒いゴミ袋にいれて木曜の朝に出したから安心していいよ。
さあおいで。わたしを愛せないあなたは見る目がないな、惨めだ。