ハッピーバースデイ


16歳の春から17歳の夏にかけて、というと1年以上の月日みたいだけれど、実際は6月に自分の誕生日があるからほんの数ヶ月である。そのほんの数ヶ月がわたしのターニングポイントだった。インターネッツ、当時は目新しかったSNSである男の子と話すようになった。
彼はいわゆる「サブカル趣味」のひとで、何かを作るのが好きなひとで、わたしは彼の感性がとても素敵だと思った。2度だけ会ったことがある、初めて会ったのは4月か5月の雨の下北沢だった。2度目は原宿だった。どこを回ったかはどちらも全く覚えていない。恋ともつかぬ感情だったけれど、しいて言うなら恋だった。いや、やっぱり恋ではない。彼に傾倒した、という方が正しい。わたしの傾倒の仕方はちょっとおかしなことになってしまって、彼に気持ちが悪いと言われて縁が切れた。今思うととても正しいと思う。あれはわたしが悪かった、素敵な男の子だった。
わたしが美術館に通うようになったり、美しい写真を集めたり、ハイファッションに興味を持ったり、そういうカルチャーに興味を持つきっかけになったのは彼だったし、キノコヘアーにしたのも最初は彼の影響だった。その後しばらくずっとキノコヘアーでいつづけたのは、単純に気に入ったからだ。当時Number girlを聴いたりしていたベタなわたしがシャンソンベルセバを聴いたのは彼の影響で間違いない。彼が教えてくれたALAMOSというバンドは最高に格好良くて今でもよく聴くけれど、知っているひとに出会ったことは未だにない。


そんな彼が「素敵な文章を書く女性がいる」と言って教えてくれたブログがあった。わたしはそのブログを一発で好きになった。彼女にどんな風に連絡を取ったのかは覚えていないけれど、きっとファンメールでも送ったのだろう。いつだかは覚えていないけれど、程なくしてその女性とも会った。
初めて会ったのはやっぱり下北沢で、ワッフル屋さんでお茶をした。カラーメイクをキメているおしゃれなお姉さんで、随分と大人に見えた。4つ離れているから、当時の彼女は21か22くらいだったろうか。その後しばらくは会わなかったような気がするけれど、なにがきっかけだったか一時期毎日の様に会っていた。そしてある日ふつりと縁が切れて数年絶縁していたけれど、最近また連絡を取るようになった。彼女は少し丸くなっていて、でもあまり変わってなくて、それでも随分と変わっていて、でもやっぱり変わってなくて、とにかく聡明で憧れの女性であることに変わりはない。


ふたりはセックスをしたことがある、と知ったのはわりと早い段階だった。やっぱりね、と思った。それは想像に難くなく、むしろ自然なことのように思った。
そして、彼らは誕生日が同じだった。それが今日、8月25日だ。ハッピーバースデイ、わたしの人生に文化をたくさん与えてくれたおふたり。有難う。
男の子の方は連絡先も知らないし、今何をしているか一切想像つかない。ただ、女性とは連絡を取る。彼が繋いでくれた縁がこうやって続いていることが嬉しい(数年途切れていたけれど)。
彼らにとって今日が素敵な日でありますように。そうやって祈っていることをきっと知らないだろう、わたしのことなんて覚えてもいないだろう。それでいい、わたしは気持ちが悪いんだ。あの頃ひとの誕生日を覚えるのが得意だったから尚更だ。執念く覚えている、否が応でも思い出す。思い出したからにはそっと願わせて貰うよ、悪いね。
ちなみに女性にはメールを送った、返事が返ってきた、はにかんだ。おめでとう。



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さて、前回の日記からまた間が空いた。翌日にでもcero野音がよかったという話を書こうと言ったのに、結局書かなかったな。


7月末に髪を切ったけれど、どうもそのくらいからずっと具合が悪い。体温が37℃を下回る日はほとんどなく、とはいえ37.8℃くらいがずっと続いていた1週間だか10日だかを思うと随分落ち着いて、今は37.4℃以下くらいだ。
一時期は立っているのがやっとなくらい具合が悪くて寝込んでいたりもしたけれど、そこまでの熱は引いたし、微熱も1ヶ月続くと平熱みたいなものだ。血液検査をしたけれど異常は見つからなかった(むしろ医者に「素晴らしく健康な数値だ」と褒められた)。

加えて、左手の痺れも引かない。去年も左手が痺れたことがあったので過剰な心配はしていないが、小指の感覚がなくて気持ちが悪い。これも最初はもっと広範囲の痺れだったのでだいぶよくなったけれど、小指は頑なに感覚が鈍い。微熱が続いていることもあるし、もうお祓いしかないかなあなんて嘯いている。



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Sugar's CampaignがAvec AvecとSeihoのユニットだったことを今更知った。ついでにSugar's Campaignのサイトに飛んでみて初めて知ったのだけれど、Avec Avecはこんなに有名どころと仕事をしていたのか。Seihoは「Cry&Fight/三浦大知」に参加しているとのこと、三浦大知はこの曲しか知らないけれど、とても好きなタイプの曲だ……!と思ったことを覚えている。なんだ、結局Seihoだったか、と笑っている。


ところでiTunesを覗いていたら、3年前にインポートしたっきり再生していない名前も知らないアーティストのアルバム(そんなのがこのパソコンには大量に入っている)を見つけたので聴いてみた。とても、とてもよかった。好みだった。なにこれいいじゃん!って言った、3年越しで。
「Generating Arrow Diagram/M-koda」、紹介文も好きだ。

Generating Arrow Diagram(スペシャルプライス)

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ファンの方がPVを自作してらっしゃった、この曲がアルバムの1曲目。

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まただらだらと書いてしまった。
本当はこの夏はちっとも夏らしくない、みたいな話をしたかったのだったのだけれどやっぱりそこまで話が及ばない。徒然なるままに、を都合よく解釈してとっちらかった散文を終わりにする。