甘くかどわかして乱暴をしたい


1日。深夜に目が覚めるとともに強く咳き込み続けた、ついに吐いてなお喉に違和感があって咳が止まらない。吐き気がするから咳をしているのか咳が止まらないから吐いているのかよくわからず、落ち着いた頃に口を濯ごうとして咳き込んでは、みたいなのを続けていた。
消化できてなかったこんにゃくでシンクが塞がってしまったのでそのまま真夜中に掃除をする、にしても喉の違和感。鏡を覗いたら咽頭のそばにニキビのような出来物がぷっちりと。違和感が止まらないはずであるし、眠れるはずがないことを察して絶望した。
騙し騙しして眠り起きたら嘔吐筋が痛かったが、身体は早々に慣れたらしく、たまにえづくくらいで済んだ。関係があるのかはわからないけどそのあたりから今まで珍しく食欲が失せているくらいのものである。

 

:::

 

少しだけ古い日記を読んだ。つまりここのログ。「夏限定のキャラメルコーンにキャラメルさを求めてはいけない」と書いてあって笑ってしまった。わかる。君の言うことがわたしにはわかる。正確には覚えていないけれど、何を食べたのかもおおまかにわかる。あれはないよね、悪趣味なフレーバーだったね。

毎晩泣いていて彼女は苦しそうにしている、愛とか恋とかがわからないとか欲しいとか淋しいとか孤独だとかと喚いている。せねばせねばと強迫に追い詰められては喉を裂くほど叫んでいる。彼女の頬を張りたいし抱き締めてあげたい。そうやって喚いているわたしを今日まで見つめてくれているひとがいて、彼彼女らのことがわたしは大好き。君も好きでしょう、だったらそんなに泣かないで欲しい。

 

一人称はぐちゃぐちゃで、わたし私あたし僕ぼく。いつもわかりやすく混乱しているようで、彼女は男にも女にもなりたくないのだと思ったし、ならなくてはいけないと思っていたのかもしれない。わたしは今でも子宮という器官をわりとシンボリックに感じている。「感情はわたしのなかの水」という感覚が当然のようにあるのは、羊水を湛えるこの器官を保有しているという自覚なのかもね。
外見にも悩んでいるのだろうし、傷だらけの履歴を笑い飛ばせていなくて痛々しい。その辺りは未だに解決していないけれど、いいところまで寛解している。つまりは連れて歩く覚悟が決まったわけで、ひとえにあの頃散々嘆いてくれたおかげだ、嘆くのも飽き気味。
実のところ、未だに一人称は「僕」がいちばん使いやすい気がしている。いまのわたしの唇には不自然になりすぎる感じがあるけれど、なんせタイピングが早いし文章の座りもよい。


僕の毎日は結構平凡で、不通の君と連絡が取れるようになったところ安定感が増した。ひとりで生き抜くには僕らはちょっと不器用でずる賢く、そのずる賢さで自滅してしまう。だからいつも君と僕は自分のずる賢さを見せ合った、それが同質であるものであることをもう10年以上も認め合って、ズレの少ないぶっ壊れた倫理観とファムファタ癖、天使型ポエジン全開バーサーカーモードの抑制などに日々勤しんでいる。
生きているだけで詩的になってしまう、生活をしたいと言いながら馴染めなくて横たわっている。僕らは昔からそうで、君と話すときだけは、「我々」という主語も傲慢に見えないから心地よい。

 


ここ2年くらい、書くことに酷くつまづいていて、いまでも怖くて上手く為せずにいる。理由は単純で、自分が劣化コピーであることに耐えられないのと、なにより君の文章は自意識が過剰すぎるといった指摘に疲れてしまった。
ここは自意識の吐き出し口、そもそも自意識が漏れていない文章にわたしはいまいち興味が持てない。文章と人格が一致するなんて有り得ない、でも滲まないなんてこともまたありえない。言葉で心が動きすぎてしまう、肉体を置き去りにしがちなのだ。光よりも早いほうがいいでしょ、シナプスのことよく知らないけど。
面倒くさいので書いたものを推敲もせず出している。吐き出したい時期ならそのようにさせてあげたほうがたぶんいい、尻拭いはまた未来の自分に任せた。

 

:::

 

便利な携帯端末に届くニュースを眺める日々ですが、今朝のニュースでは自分が走り書きで残していったメモを見たような錯覚に陥った。思いついた下の句を書き殴ったような。それでは、と上の句を考えていたら午後に体調が悪くなり、ふらふらしてたら今日が終わった。
短歌、読むのは好きだけど作るのは苦手、リズムと語彙のバランスを上手に取れなくて、頭でっかちになってしまう。

 

「軽症・無症状者はホテルに 都」

 

 - 降ります星 頭目掛けてひねもす 軽傷・無症状者はホテルに

 - 甘皮のささくれ追って流るる血 軽傷・無症状者はホテルに

 - 夢占い読み間違えて伸び縮み 軽傷・無症状者はホテルに

 - 眠れないごはん食べれない胸痛い 軽傷・無症状者はホテルに

 - ゆるします大食漢の獏に告ぐ 軽傷・無症状者はホテルに

 


……川柳では?