どしん、ばたん、はい、どうも


ああもう一生分眠った、これは昼過ぎに違いないと身体を起こしたら、普段起きるよりも早い時刻だった8月初日。思い返してみれば常備薬を飲み忘れたまま眠っていたのだが、それにしてはよく眠れた。
そんな清々しい朝に、美しいひと、夏の、から届いていたものものを聴いて過ごした時点でもうこの夏は貰ったも同然だったが、加えてiTunesに何種類も入っている透明少女を全部聴いた、2周ほど聴いた。

 

そんな風に過ごしながら窓の外を見ていて、似ている夏を過ごしたことがある、と思った。入院の窓越しに見るそれ。
確実に夏であることは間違いないのだけれど、分厚い幕が張っているような、隔絶された世界の話のような、他人行儀のような、あるいはすごく大きな世界の中でわたしだけがオブラートにくるまれているような。この干渉できないものにくらくらさせられっぱなしの季節。夏だ。夏だ夏だ夏だ!

 


晴れているので嬉しくなったり、立派な岩牡蠣を食べたり、ケーキを購入したり、またアクセサリーを買い足したり。梅雨が明けたら途端に夏めく。気の触れる周波数でブレまくる。こんなに剥き出しで、そんな導線に触れたら感電してしまうよ。気をつけてね。

 

今日は起きたときから耳下腺がぱんぱんに腫れていて、でもこれだってここ2ヶ月以内でも3-4回目。耳下腺なんて腫らしたことはなかったのに、急に癖づいてしまったのだろうか。それにしても今朝の輪郭の乱れ方は酷かった、輪郭が歪むのはいやな緊張をしてしまう。

 

 


書いたそばから掻き消えてゆく塩梅で7月は過ぎた。
遅まきながら自分への誕生日プレゼントという名目でメイソンピアソンのブラシを買った。エクストラスモールブリッスル。わたしにしてはかなり張り切った買い物だ。さすがにドキドキして、箱を開けるのにも2週間ほど掛かってしまった。
髪に硬い猪毛を通すたびに、髪が綺麗になればよいのに(なるはずなのだ、なのだよ)。

 
以下、残滓。

 

 

 

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▼毎朝目が覚めるのが億劫で淋しい。疲弊の放出のターンだ。
未だに、それでも心臓を止めれば終わるし、というのを救いだと捉えていることがきつい。どうして置いてくんだよ、とも思う。思いながら今日も生きていて、君に会いたかった。


▼年始に会ったとき、実は受験をしていたの、とTは言った。新卒からずっと勤めていた大手企業を退職し、9月からヨーロッパの院に進学をするのだそうだ。先だって8月半ばには出国する。いまのところは変わりなく出国できる見込みらしいので、送り出す会をした。
Tとは、中学入学時に隣の席だったというだけの縁だけれど、今まで既に二度出国を見送っている。一度目は高校生の頃、英語圏の国に一年程度のホームステイに行ったとき。二度目は就職して数年後、英語圏の国に駐在したとき。そして今回、三度目の出国は、英語圏ではない(とはいえ英語は使えるけどね)。

高校生の頃彼女が留学し、帰国した頃わたしは学校に通わなくなっていた。単位が取れないなら留年だよと言われて、頑張ったけれど取り切れなくて、結局やめた。その単位を搔き集める作業のなか、自由が丘のカフェで彼女に手伝ってもらったこと。ふわふわと斜め上のことを語る彼女のことがわたしはとても好き。

学生になる彼女に、革の筆箱をプレゼントした。以前より見かけては可愛いと思っていたものだったけれど、まさかプレゼントするほうが先とは思わなかった。邪魔にならないとよいな。

 

 


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病院に行ったら寝相のせいでしょう薬もきっといらない、なんにも心配いらないよ、と優しく笑って返された。いとしの耳鼻咽喉科医。