嘘でもいいなんて微塵も思ってない

 

ずっとデタラメ歌ってた変な5月はもうおしまいになるって聞いた。やらなくちゃいけないこと終わってない気がする、ぐらぐらの日々にだっていつかそのうち慣れてゆく。何考えてるかわかんないって言われてもわたしは感じているだけです、思考よりも感情という筋の通らないものを優先して生きていて、その果てでどうこうしています。

 

薬局に薬を取りに行ったらまだ明るかったからついでだしってイヤホン耳に挿していたら、どこをどう歩いたのか記憶にないけれど気づいたら馴染みのない場所にいた。路地の紫陽花が綺麗。よく見ると結構花びらのかたちが違うので違う株を見るたびに立ち止まった、わたしが虫だったら彼らは受粉していたはずだ。
今年も紫陽花を見に行こうかと考えたけれど、でも去年見たしね、どうせ予定を立てるなら薔薇にしようと思い直す。もう何年も薔薇園に行っていないし。わたしじゃなくちゃ嫌。5月が終わる。
個人的な緊急事態宣言も延長したけどこれが最後だからねって耳に塩をかけた。あと新しいピアスを頼んだ。

 

デタラメ歌ったついでにデタラメ踊ってようよ、うんそうしよう。音楽を聴いてるときにはちゃんとひとりでいられる。そうだよずっとやってきたじゃん、美しいものが欠乏しているから気が狂うんだよ鍵が狂うんだよ。もっと取り返しのつかない世界で閉じていたい、もっと失望したい、しなくちゃ。失望といえば道行くひとびとが薄着な気がしたから思い切って長袖の下着脱いでパーカーだけで歩いたらめちゃくちゃ寒くて嘘じゃんな、やっぱりみんなたちの言うことなんか聞いてあげない。勝手に痺れてろ。

住宅地の中を通る川には橋の上から見てもわかるくらいに亀がたくさんいた。魚とは違う気泡が上がるから、すぐわかるよ。わたしはアリスみたいに嘘がうまくないからあんなふうなこと言わない。

 

終わる季節に言い残すことなんてないはず、6月からはいよいよ夏って感じになるからまた変な音がたくさん聴こえるんだと思う。完全数の月だしね。マスクで擦れるから吹き出物が治らなくてちょっぴり辟易してるけど、全部全部全部ダメになってしまえよ。

真夏じゃなくて5月に破滅するなら素敵だな、夏の妙は生に潰されることだと思うけど、もう潰す対象がないのにギラついてる夏の獰猛さを想像するとぞくぞくするもの。