紫暗化合物

 

この身体の中に全部あることを心強く思う。わたしの合図でしか動かない、これが所有する限りだ。お前らひとりも入ってくるな、わたしが許す前に入ってきたら静かに消して忘れてしまうもの。迂闊な方法で触ったら噛むからね。わたしの血は銀色だ。どんな詩も邪魔をするな、星の色だって自分で決める。

 

困ったときは原点とか根本に立ち戻るのがよい。簡単だ、強い諦念だ。もっときちんと身体に入れる。生きるべき場所も死に場所もない、足元をよく覗いてみて、見落としている絶対に何か。

コンビニにはチョコミントのお菓子が並んでいるよい季節、注意深く五感を使う。風の色を音を湿度をひとつも取りこぼすことなく舌に乗せてよく嗅いで。もっと神経の全部を逆立てて、よく疑って。いい、不快だったらその神経ごと抜いて捨てればいい。腐ったら肉を切って焼けばいい。使えるものは余すところなく。そうやって総てをすり潰してしまったときにしか死ねない。

誰も彼もうるさい、ブルーベリーでも噛んでアントシアニンで布や皮膚を汚していて。薫風という言葉の胡散臭さ、目が回るような夏の予兆。まだ1ヶ月ほど昼間は長くなる一方で、だから気の狂うような眩暈はまだ続く。今年の梅雨はどうなるだろう、去年は7月31日まで続いた。耳の隣でぱちぱち鳴ってる。

土の色はあそこまで黄色くてここから赤いのは濡れているからじゃなくてきっと種類が違うから。

 

 

ひとの四肢をもいでゲームに使うようなひとたちを夢に見たから今日は頭が重たかったけれど、湿気で肺をぼかしながら20000歩くらい歩いた。知らない住宅地を歩いてよくわからないところに行くのは楽しい。紫陽花がたくさん咲いていた、もう5月も末らしいから薔薇なんか見に行きたい。道中の100円ローソンで買ったジュースは甘味料の味しかしなくて美味しくなくて飲み切れなさそうだ。このぐらいの季節が一年でいちばん空気の色が濃く見える気がする、新緑が水に溶け出す印象なんだろうか。

どんなときでも完璧にやりおおせる。もっと美しく生きてゆける。そういえば歩いてたら「おいしくて美しい」と看板に書いてある飲食店を見かけてとてもいいなと思った。