いかがわしい武勇伝を胸ポケットに刺繍して

 

重曹と軍曹って一文字しか違わないのだな、と思いながらスーパーの隅っこをくるくると回っていた。ここのところはずっと異様に眠くて意識がふやけやすい。眠ることに対する苦手意識はいつまで経っても完全に抜けることはないようで、眠るのが怖いし眠ったら次は起きるのが怖い。怖がらず明日を迎えてみたいのに、ってなんの歌詞だっけなと脳を掘ったらピアノの音がたーんと響いて静寂が痛い。

 

身体の周期でいうとちょうど一周した頃合い。また剥落するのだ、指を折ってみればおそらく、丸一日話し続けたあたりがそういう日かな。でもやっぱりダメみたい、当たり前のことですね。身体愚かしいなって思う向きもあるけどきっと理性が妬んでるだけ、ひとを置いて走れ。わたしの動物はもっと賢明だ。血を流して見せてあげたい、獰猛にやって。

 

一般的に女性は男性に比べて自身の血を眺める機会が多いと言う。男性より女性の方が痛みに強いとも聞いたことがある。
自分の身体から定期的に血が流れることに未だに困惑がある。排卵して、受精を待って、妊娠に至らなかったら子宮の中身ごと排出してしまおうって大胆な仕組みすぎて全然実感持てない。いいよ、しなくていいよ、って思うんだけど、賢明な動物がやりますよと敢行するものだからよく血が足りなくなる。

若さに強い執着もないけれど、生殖細胞が劣化することは本当は怖い。こうやって焦らせるために毎月律儀に血を見せてくれるのだと思うけれど、でもそう仕向けられてるんだったら抗ってやりたい。血よ大いに流れ給え、身体の一部が剥がれ落ちる痛みを今月も与え給え、恫喝に動じるもんかよ、精神に関与しようとするな。勘違いしないでほしいけれどわたしは決して肉体を信じているわけではないんだ、些細だけれど鋭く違う。

 

直感と運の良さで自分の道の舗装をしてきた、でもそれに慢心したことはない、慢心したら死ぬもの、足りない頭できちんと考えてる。黙って、わたしはこの道がいい。わたしが選んだ、自分で選んだ。