赤の掲揚

 

流星仕草が板につき、鼻につき、膝をついた。声が出ないのは声門をギリギリまで絞っているからなのか、それともきりきりと喉を締められているからなのか。叫べない喉はいつも嘔吐する、感情が振れると嘔吐するのはもう仕方がないことでこれは別に比喩ではない。酸い味。

 

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門前払いに次ぐ門前払い、踏切のあちらはひとの群れ、見たこともないメーカーの飲料を飲んで、知らない道に生えていた素敵なベランダに鎮座する大きな観葉植物を見た。線路沿いには犬の幻が水の幻に向かって立ちはさがっていたが、その立ちはさがる犬たちを持ち込んで金継ぎすることもできるらしい。おかずみたいな味のするアイスクリーム、疑似蝙蝠。

 

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点と点を繋いで物語を叩き出す技法のお披露目をしながら、視界いっぱいの周辺減光の四隅。格好いい服を着て歩いた、そこがメインストリートになるのだと言い張って落下する幕引き。音質の悪い拡声器ではロープウェイとノーモアウォーの区別がつかない。