新宿ワンマテリアルZ


「ずっといっしょいよ」
「今日?」
「じゃあきょうから」

 

 

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昨日は歌舞伎町でネズミを見ました、3匹がくるくると回りながら食事をしていたのを眺めていたけれど、それなりに往来があるから出たり隠れたりしていて、3匹ともが隠れた辺りでその場を後にした。
今月の頭には目の不自由なひとのための黄色いパネルの上で死んでいるネズミを見ました。綺麗なかたちのまま、水分が抜けていたのでしょうか、ふっくらとした肉体の厚みは失われていた。その絶妙な厚みをカントリーマアムに例えたNとわたしの間には、それ以来「二次元のネズミ/三次元のネズミ」という概念が生まれました。

 

君のz軸。

 

微睡みの幸福に確信のあるいつかを重ねて目覚めるような時間に余裕のある穏やかな寝起きが大好きだったのに、最近ではその時間が怖い。幻肢痛みたいなものだと思います、とはいえ勝手に付け足した想像の手足だから自業自得だね、幻だと思っていなかったから、つい。起きていると大変だし最近すぐに脳が落ちてしまう。一度眠ると起きるのが本当に怖い、起こされるまで起きない薬を嚥下したい。

 


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横たわって呻いていたけれど、せめて音楽を聴かなくちゃと思ってようやく身体を起こしてiTunesをどうにかし始めたのが夕方だ。筋肉少女帯の「キラキラと輝くもの」という盤をまたなぞる。我々が思うほどこの世界は哀しくプログラムされちゃいない、何よりもうこれ以上君の周りに不幸の存在を俺は認めない。大好きだよ君が照れ臭くも無いよ僕の歌を総て君にやるよ。
でも最後は結局「最後の聖戦」に変えてペテンを聴くのだろう、わたしはこのひとを食ったような曲が大好き。生も死も総てペテン!

 

 

わたしの世界はわたしの心の限りだ、わたしの心のなかには君がいる、だから美しいものであるはずだ。この世界はいかようにでも美しくできる、そう思うしか。

「そう思うしか」という言葉をすっかり我が物顔で使っているが、どうせそのひとは覚えていないだろう。雨の日だった、前後の流れはまったく思い出せないが「どうにかなる、そう思うしか」という言葉だけが深く刺さっているし、わたしもそう思う。たぶん下北沢、たぶんどこかの雑居ビルの2階だったような気がする。ほんの少し年上のそのひとのことが酷く大人に見えていたから「どうにかなる、そう思うしか」、そうなのか、と漠然と思い続けていた。
でも、そう思っていれば絶対によくなるって教えてくれたのは君。こうなりたいって願えばきちんと叶ってゆくのだと。だから、どうにかなる。どうにかなりたい。そう思うしか。

 

どうしてこんなに薄弱なのだろう。論理がわからないのだ、祈りなど合理的ではないと思う。それでもわたしにできることはそれしかないとさえ思っている。
「あなたのために祈る事なら今の僕にも許されるでしょう」と口癖のように言っていて、歌詞の切り貼りくらいでしかもう文章の構成もできなくなっているのはわかっているのだけれど、まあここはそういう性質を帯びているから、さっぱり諦めてね。

それと、ワンマテリアルって「現実に待てを遂行している犬」みたいな感じがしてちょっと面白いなって思った。

 


君が最初に笑う理由を見せて。