2012-01-01から1年間の記事一覧

柔らかな母音

もう呼ばれることのなくなった名前について考える。 彼彼女の名を呟いている自分の唇、口という空洞はどこかに繋がっているのだろうか。繋がっているものだと思っていた。彼彼女もわたしの名前を呟いてくれれば、それはもう素敵なことだと。でもいつだってす…

May Day

戦争もメイデイも正しく理解できないくせに、ここは戦場だと、毎日は革命だと声高に叫ぶだけ叫ぶ。愚かな恰好のつけ方だとは思う。忘れ去られてしまうことや関心を失われてしまうことは哀しい。自分がいろいろなものに執着する性格だから尚更だ。この執着は…

フロアという奈落から

下卑た退屈さだけが眼前にあり、それらに立ち向かうことはナンセンスだと知っていた。いつも目を伏せて端末へ、どこにも行けずどこにでもいた。焦がれるほど遠くにあるものがいちばん近くから流れ込む。そういう類いの、音楽。虹色の上に鱗片状の光を散らす…

外ハネと内巻き

もっと自己完結的な人間でありたかった。お前らのことは信じていないといいながら必要としているのは醜い。 自信がないから他者と関わりたくないのだと思う。 他者と接する程度で揺らぐ自我ならいらない。 日常生活に不便はしていないがどこかがぐしゃぐしゃ…

収まらない妄想が現実をいつも嘲笑う

数えきれる程度の哀しみで 空をトンだ女の子の話だよ 追いきれる程度の変拍子で 脳からぶら下がる藤の花よ 妄想で惨殺した神様の死体の肢体の舌の下に隠されていたから気付かなかったのよ人間たち。 具現化されるほどに逞しく育った健やかなる妄想で惨殺され…

静かなお別れ

すりこぎ状の床でこねくりまわされる僕の神様は無敵で不死。ゆえに何回だって何回だって殺される、慈悲はどこにもない。神様が笑っている。慈悲はどこにもないんだよ。 膠着してしまったものを引き剥がす術がなくて、剥がれてしまったものを繋ぐ手立てがなく…

何かしら愛を感じた

先月、スタジオに入ってきた。とはいえもはやできる楽器はなくて、ギターを3コードじゃらんじゃらんして、やったことのないドラムをぽこぽこと鳴らした。なんにも弾けなかったけれど楽しくて、「何かしら愛を感じた」、意味深に呟いた。 どんどん忘れてゆく…