あのこはいつも暇だから、手をぱくぱくさせるのです。
開いたり閉じたり、
閉じたり開いたり。
いつ見てもそのてのひらはからっぽです。
ある日、ある人がそのことに気付いて、
あのこの手にそっと、大きな氷を握らせてあげました。
あのこはとても喜んで、やっぱり手を開いたり閉じたりしました。
そのうち氷が溶けて、
あのこのてのひらはまた、からっぽ になりました。
おまけにてのひらに冷たい火傷を負ったので、
あのこはついに、てすさびさえもできなくなってしまったのでした。
あのこは、膨大な退屈を前に、ただただ立ち竦むばかり。