ライフガード風味のチューハイはなかなか流行らない


夏至はすぎたが、それはさておき明るくなるのがあんまりにも早い。眠るのをなんとなく渋っていたら明るくなっていたので、始発でガタゴト電車に乗って海へ出かけた。
移動時間がわたしは結構好きだ。読み終わらない本やiPodに突っ込みっぱなしだった音楽を聴く時間になるから。2時間ほど揺られて、それから少し歩いて、砂浜に出た。なんてことはなく、海があった。
季節外れのブーツを脱いで裸足になると、砂は熱かった。近くのファミレスでオレンジジュースとミルクを混ぜて、分離したそれを弄んだことは忘れていた。
波打ち際が延々と波を打つのが、ただそれだけのことにいちいち驚けるから、海のない環境に育ったわたしには、海風だけでも新鮮なのに。
瓶を投げても戻ってくるんだって結局。瓶を弾くと音がしたので少し愉快になって、そのまま座っていた岩場に打ちつけてうっかり割ってしまった。緑のガラスを拾って、コンビニの袋でくるんだ。
持っていた厚手のハンカチで砂粒を落として、もう一度ブーツを履いたけれど、別に嫌な感じはしなかった。それでコンクリートを踏みしめて、きた道とは少し違う道で駅へ向かう。途中で瓶を捨てながら。
行きには気付かなかったけれど、住宅地にも当たり前のように海風が吹いていて、きっと住んでる方々はそんなことを気にもしないのだろうと思った。悔やむでも妬むでもなく、自分の育った街のことを少しだけ考えた。考えた気がしただけかもしれない。たとえ一秒前でも過去は美化してしまうもので、美化というより文字に起こして満足したいだけだとはわかっている。
駅の傍でゲームセンターとBOOK OFFに寄って、海でぼうやりしたことは忘れていた。


ところで、くるりが何人になろうと、わたしはひとりだと思わないか。バンドでは、ないからねえ。