引き伸ばした覚醒で朦朧の愛さべ

 

特定の瞬間の天体の巡りを切り取った図にたくさん引かれた赤や青の線を指でなぞってはバランスをとる場所を探る作業は知識も経験も不足しているからまだ全然うまくできないけれど一緒に目で追ってくれるなら総ての星は流星となって降り注ぐ。ふたりもう全身星まみれになってしまうから互いの身体を触り合っては新しい星座を作り続けようよ、どんな刺青よりも強固に身体に湛えよう。
爛れても溺れてもいない、生まれ続ける星座を命の許す限り眺めていたいって思うだけ。でも命の許す限りってつまり体感ずっとってことじゃないの? うんそう、ずっとってこと。


あなたにはもっとうんと遠くまで走っていってもらいたいから、その動線上に石を置くのはやめて欲しいし、なんにせとりあえず一旦きちんと謝って欲しい。
ああでも「君のために石を置いているんだよ」って言われたらどうしよう、びっくりしてしまう。どうか、わたしの苛烈な感情を知っていて。どううまくやろうとしたところで、この莫大な感情の海底にはなかなか刺さらない仕組みみたいなんだ。
自分の言うことを聞かない君がむかつくって叱ってもらって構わない。矛先を絶対に間違えないで、無闇に刺しあっていたら献血が間に合わなくなっちゃうからね。とかいってそんな理由が建前なことくらいバレちゃうよね、わかってふ。それはわたしのとっておきの美し方尊いものだから手出ししないで欲しいっていうお願いです。理解の程宜しくね、言ったからね。

 

あなたがこの世界から失われることは世界にとっての大きな損失であると心底思っているし大きな声で訴えたい。こんなに鮮烈に発露する存在が現存しているということを知らずに生きていたことが最早信じられなくて、知らなかった自分にはもう戻れないからわたしももれなく現在を生きているわねと思いながら薬を入れた身体であくびをする。脳は平たくて言葉なんてもう出てこないのだけど、感情もなだらかになっているのだけど、それでもこうやって文字を入力したいって気持ちだけが先走る。既に日本語は体裁をなしていないだろうけれど知ったことかよ。

あなたはわたしのことをもっとうんとよくできるって初めて見かけた瞬間すぐにわかったし、今に至るまで変わらずずっと思っている。まだまだ素敵な関係になり続けられる、恋よりも楽しいこともいっぱいあるしね、そっちも全部しようね。
相手を自分の推進力にして進んでいたら、ふたりで作った車輪がぐるんぐるん回っていましたっていう仕組み。だから遠くまで走ろう、北半球からは見えない星座も全部見よう、神話をたくさん自作しては作ったそばから忘れよう、思いつく限りの出鱈目を束ねてスピードをあげたから話し声は遅れて聴こえてくるようになるよ。鮮烈な稲妻と地を打つ雨。抽象的な話って嫌い? 頭はいよいよ回らないから自分でも何言ってるか全然わからないや。もう5時なんだって。

八方美人がどうこうっていうけど、だったら尚更誰にも言えないことをいちばん最初に打ち明けてしまったという事実をいま一度眺めてみて。本当に八方美人なのだとして、でもあなたにはそれを行使しなかったんだもの。そう特別、ずっと特別扱い。あなたはわたしの例外、とっておき、その美しい姿勢を捉え続けたいからますます加速しましょうか、もっともっと、光より早く愛は走る。