ナイロンになりたい

 

わたしにも意地というものがあるので実行を持って戦う意志を示した所存です、執念く食い下がるばかりではありますが。

 

星を眺めて過ごす日々、何をするでもないけれど濡れた声を耳に入れて意識をふやかす。クリームの肌が柔らかくなってシーツを汚すから嫌になる。水気はちゃんと切ってね、じゃないと衣が分厚く付きすぎて揚げたときに白っぽくなるからね。でも味はそんなに大差ないじゃんって正直思うしまあいいか。

クリーム、それがわたしの肌に貼られたラベルだった。あの部屋で失ったのはドット柄のワンピースのようなキャミソール。当時気に入ってよく着ていたもの。あの頃はボブだった、身体を不自然にねじる夜。

 

今日は一日眠たくて起き上がれないまま過ごした。声を発していても意識がボロ布のように千切れ続けるからおとなしくくたばっておく。這々の体でローソン、壊れたから買い直そうと思ったものがあったのだけれど取り扱いなしとのこと。
パーマはほとんど落ちかかって髪がやたら重たく感じる。そんなことよりも身体が重たい。雨が軽く外界をノックし続ける音を聴いていると意識が溶けてゆく。重力に勝てないという点においては雨もわたしも同じだと思った。

 

カメラがこちらを向いている間、自分をものだと思うのが心地よかった。肌と肉体を所有しているだけの人格。農薬を飲んだ果ての冷たい肉。でも当たり前のようにiPhoneを向けてシャッターを切ったときの音は大袈裟なまばたきのようでなんだか微笑ましくて好き。そんなふうに網膜に焼きつきたい、というより全身に焼きつきたい。火傷まみれのわたしの引き攣った肉に眉をしかめないで、焼印だから仕方がないこと。頭が痛いならよく眠って、お腹が空いたならご飯食べて。化繊を肌に置いたまま燃やしてみてよこっぴどく、数年前、唐突にナイロンになりたいって思ったの。