直線距離的に水あめでラビュー

 

わたしに内包される未来の、その含有量を見て。綺麗でしょって平然と言ってのけるよ、事実だもん。

 

あなたがここにいなくてもわたしはずっとあなたといるんだってわかる。わかるって最初に言ったときから一向にぶれないのだ、あなたはにんげんのなかでいちばん大切なひと。だからここで一緒にいられたらいいのにな。にな。さみしいな。元気かな。

わたしの手元にあるじっぽんの指のうち、左右それぞれの親指と人差し指をあなたの口に差し入れたい。そしてあやとりを広げるときみたく四角をつくりたい。そういう柔らかい開口器でもってあなたの口をこじ開けて、そこにたくさんたくさん、かたちとしての確からしさが淡いものを詰め込みたいのだ。きっと綿菓子みたいな感じだと思う。

言葉や感情がそんな風に口移しで伝播していったら楽かもしれないけど楽するためにあなたを好きでいるわけがない、楽しいけどね、あなたは微塵も楽じゃない。そしてわたしも当然楽じゃない、面倒くさいにんげんを自負している。自負だ、自分で負っている。この面倒から逃げずにいて、自分であり続けてやる。こんなこと、大して誰かに望まれていなくとも。

 

当然のように好きで、もう季節のようなことかもしれない。血液型や誕生日が覆らないようなこと。これが尽きないってわかる、無尽蔵という言葉はとても強くていいよね、ムが両唇音なのもいい。上唇と下唇が離れるときに生じる、重たいものが立ち上る雰囲気。そこから続くジで歯茎硬口蓋まで舌が移動する、唇は割れるように開く、天啓のようなジの音!しかも濁音だ、力強い!! 撥音を挟んでまた濁音!!! そしてウで静かに結ばれる、ムで始まってウで終わる。母音のなかでいちばん口内が狭くなるのがウだけれど、この音が最初と終わりにあるのがなんだかいい。音から立ち上るのは、気にも留めない些細なものを何気なく見やったら思いがけず莫大な力があって、思わず目を逸らすように扉を閉じるようなイメージ。それはそのまま「無尽蔵」と同義だと思う。そこにあって当然の大きな流れだ、注視したら爆発するような力の。

無尽蔵という言葉ひとつ、舌と唇が作る動き発する音。広がっていく脳のこの振動、これも伝わったら楽しいのに。っていうか無尽蔵であることが伝わったら楽なのに。いや、だから楽をするつもりはなくて。

 

支えも助けもいらないだろうから、いらないって言ううちは支えも助けもしないけど、だってさせてくれないし? それを無理にやらせろってほど野蛮じゃないし? 天国より野蛮な地域より銅域・ハズ・カム。

自分も稚拙だったなと思う、思うということは成長があったということなんだろうな。今ならもっときちんと一緒に戦えるのに、なんなら少しは休ませてあげれるのに。

いいえそれでもわたしずっと戦ってる。

 

嘘じゃないから何度誓ったって問題ないな。わたしはあなたのことがいちばん好きだ、そしてそれを伝えたくて暴れまわる心をおでんにいれる昆布のように結んで、唇も結んで、結び方にもいろいろあるからね、また少し口笛の練習をしたよ。昔は外を歩いている間ずっと口笛吹いてたからなんだかやたら上手くなった、いまは音質も下がったし音程も取れてない、早いパートは音が潰れて醜い。パッヘルベルのカノンとか主よ人の望みの喜びよとかオルゴールに使われがちな曲はずっとぴよぴよしていられるから練習に向く、口笛ならいつまででも吹いていられると思う。

 

少しは悪くない身体になったんじゃないだろうか、貧相とぶよぶよが共生していてまだ改善の余地は大いにあるけど、前よりも多少はいいはずだ。身体は食事をして動いて眠って変わってゆく、よりよくなれる。もっとよくできる、あなたにされる。わたしもする、わたしでする、わたしもわたしをよくできる、そうでしょう?

 

今週末は本当に久々の散髪だ、何を着てどんな化粧をしていこう。いつだっていち早く見て欲しい、と真っ先に思うのだ。新しい髪型も化粧も服も靴も、全部。

 

 

「たくさん感情が溢れてくる」と言ったとき、「種類か量か」と聞き返された。そのときは前者のつもりで発したのだった気がする、でも後者もわかるようになって、今ははっきり両方だと思う。こうやって書き倒すことさえしないでいるから腐ってしまって動けなくなる。わたしは動く大きな水、鉄砲水。おでこにひやっこい水がぶつかったら笑ってね、わたしは梅雨の化身の晴れおんな。それで月が好き、そんな月よりあなたが好き。雨。いいよ梅を散らして全部濡らして。