ジンジャーエールと鎮痛剤

 

わたしの腫れた目の周りを黒く塗って、こうやると魔女になれるんだよと笑いながらピアノスコアを買ってくれたマスティーヌさんと鍵盤の上でいんちきに踊った夜の正式な記録はどこにもない上に、それ以外のことを全く覚えていないし魔女を名乗ったのさえ確かじゃない。
「確からしさ」っていう日本語に小学生のときから持ち続けている違和感はちっとも抜けていない、そこに「確率」という熟語を当てられたときの納得のゆかなさも。きちんと調べてないけれど、その2つの語は本当に等号で結ばれるものなのだろうか。


赤と黄色と青と緑が混ざり合ってるばかみたいに派手なスニーカーをよく履いている、ばかみたいに派手なので汚れても目立たないからだ。通りすがりのスニーカーマニアに呼び止められたこともあるいっぴんだけれど、あまりにそればっかり履いているから穴が空いている。穴さえ目立たない気がしてまあいいかって無視してきたからかなりの大きさに広がって、いくらなんでもとようやく思ったのでシャチみたいなスニーカーを買った。シャチは愛くるしいカラーリングなのに簡単にわたしを食べてしまうだろうからよいね。シャチみたいなスニーカーなんてすこぶる素敵だと思う。


ぎざぎざしてるジュースを飲んだり、粗茶呼ばわりされてるのがディンブラだったり、海の写真を眺めたり。最初からふたりきりだったって神話から全部書き換えてぼうっと波の音聴いてたい。世界中に優しいサイン波が満ちる夜、気を違えるいきものたちを尻目に最初から正気じゃないわたしは正気のままで笑っていられる。


幽遊白書を初めて読もうと思ったら1巻で泣きそうになってしまって早すぎるだろと思ったし、本当に飛影はそんなこと言わないのかなっていうところは疑惑している……って飛影と蔵馬ってわりと早々に一緒に出てくるんだってさっき知りました。
ねえ、バランスの取れたkissってどんなkiss?

 

ドラムで泣いたのって初めてだった、そういうドラムを叩くひとが生まれた日だなーって思いながらふたつ並んだ完全数を見つめている。