2023-01-01から1年間の記事一覧

粉末の朝

左手に掴めそうな海、あなたの髪が茶色に透ける程度の色素量が潮を含んでかさを増してゆく。嘘をついてでもあなたが増えると嬉しい。いないひとの不在さえ愛せる気がして心臓の窓を開け放ってはためくカーテン、けむくじゃらの小さな蜂が迷い込んで大動脈の…

紅茶の煮える鍋に投身

展開がないなんてつまらない。どう転がったって新しい色を見られるって信じてるから指先でくるくるってするしそのせいでマニキュア乾く前にぐしゃってしちゃう。でも同じ色が塗りたいなら過去の自分にシールでも作ってもらってそれ貼ってたらいいじゃん、皮…

ル子音

気に入っている水色を引き延ばして表示させたら青色にしか見えなかった。 そのときのわたしは面喰ったのは「こいはみずいろ」と訳した瞬間がかつて存在したせい。恋の色には見えなかったが、とはいえL'amour est bleu、結局恋の色だったのかもね。まあなんで…

ガミー

重なってじりじり動いて生じた摩擦熱で削れた肌の色合いに、焦げ消えてもうすっかりなくなったものを見た。 フォークの刃先を押し当てたかたちにとける氷が愛おしい。わたしの手のひらから伝ってゆく熱がそうして変質させてゆく。 いつまでも同じ熱を押し当…

蒲焼でごはん

ジュッ から始まる文章を書こうと思ったのだけれど、ここまで書いて筆をおいた。言いたかったことの軸足がすとんと落ちた、着地した。いま他に言いたいことはもうないってわかる からからの指 ジュッ あと全部蛇足に思えるからとりまバッサリ切っとけ。切っ…

うんの様

1時間おきに目が覚める。毎度毎度、意識の縁がぴんと鋭く立っていたため、脳を何度も切っては気絶した。出血多量でふらついて動けなかった朝、ようやく身体を縦に持っていったときには気づかなかったが、外に出てみたら世界が動いていなかった。なすすべもな…

生命線 広島ネイティヴver.

「世界にゃ同じ顔の人が3人おるらしいの」 「それな、全部で3人じゃけ」「そうなんよ。え?結局何を言いたいん??」 「もうひとりに会いたい」 「物好きか」「ロマンチストって言うてえや」 「それが獰猛な殺し屋でも、お前はそう言うん?」「ロマンチスト…

板に落つ

わたしはひとりで完璧に完成している。その中身をだらだら垂れ流して文学的とか言われる趣味はまじでミリもないっていうか悪趣味な仕立て直しをする暇こそまったくないんだけど、心臓を吐きそうな感覚になって嘔吐しても胃液まみれの冷たい沈黙と空洞みたい…

しょうずい

実現しなくてきりきりするけれどとにかく感覚を取り戻さないと、それこそ死んでしまうよ。 あくびする猫みたいだと思う。90度で締め付けられて空転甚だしい。そして土足でねじ込まれて痛む場所がどこかも特定できない。遠くから聞こえる水の音のような響きの…

笑って強制

ばらばらになりそうなものを別にここで繋ぎ止めてない、重なったり離れたりそういうあそび・ゆとり・ふくみの部分として機能するわたくし 何が痛いのかわからない 見えなくなってしまったから理解した、死ぬほど好きじゃないから死ぬ気になれない、首を絞め…

3枚の膝掛け~それはストールですよ~

目の裏側にゴリゴリやすりを掛けられていて額の裏が嫌な感じだ。 だとしたらそれはわたしの責任ではない、という言葉を飲み込む。イーブンにはならないってわかっている。 イーブンになるんだったら誰もかれもこんなことにはなっていなくて、それでも条件を…